セフィデロコル 2つのP3結果がThe Lancet Infectious Diseasesに誌掲   塩野義製薬

 塩野義製薬は14日、新規注射用シデロフォアセファロスポリン抗菌薬セフィデロコルについて、治療が最も困難なグラム陰性細菌感染症に対する有効性と安全性に関する2つのP3相臨床試験(APEKS-NP試験1, CREDIBLE-CR試験2)の結果がThe Lancet Infectious Diseasesに掲載されたと発表した。主な掲載内容は、次の通り。
l. 幅広いグラム陰性菌による院内肺炎の重症患者を対象としたAPEKS-NP試験において、主要評価項目である投与終了14日後の全死因死亡率は、セフィデロコル群で12.4%(18/145 例)、高用量メロペネム群で 11.6%(17/146例)であり、メロペネムに対して非劣性を示した(調整治療差0.8% [95% CI -6.6~8.2])。
また、同試験において認められた有害事象の発生率は両薬剤間で同程度であり、セフィデロコルについて新たな安全性の懸念は認められなかった。
 l. 様々な深刻なカルバペネム耐性菌感染症を対象としたCREDIBLE-CR試験において、セフィデロコル群(83% [66/80例])が単剤療法)は最善の治療群(BAT:71% [27/38例] が併用療法、そのうち66% [25/38例] はコリスチンを含む)と比較して、主要評価項目である投与終了時から7 日後の臨床効果および細菌学的効果において類似した結果を示し、メタロβラクタマーゼ産生菌感染症については優れた成績を示した。同試験では、群間の死亡率に差が見られたが、アシネトバクター感染患者が治療前から有したリスク因子の偏りによる可能性が考えられ、アシネトバクターの共感染を除いた緑膿菌または腸内細菌目細菌感染患者では群間の死亡率の差は見られなかった。さらに、セフィデロコル投与による有害事象に関連して死亡した症例は認められなかった。
 セフィデロコルは、2019年11月にFDA(製品名:FETROJA)、および2020年4月にEC(製品名:FETCROJA)より承認を取得しており、WHOにより最優先の対応が必要であると考えられているカルバペネム系抗菌薬に耐性を示すアシネトバクター・バウマニ、緑膿菌および腸内細菌目細菌に有効性を示す唯一の薬剤である。
 塩野義製薬は、今回のAPEKS-NP試験およびCREDIBLE-CR試験の結果から、「セフィデロコルが多剤耐性グラム陰性菌によって引き起こされる感染症に有効な治療選択肢になる」との見解を示している。

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