リムパーザ・ベバシズマブ併用療法 卵巣がんに関する適応でCHMPが承認勧告  アストラゼネカ

 アストラゼネカは、9月21日、リムパーザとベバシズマブの併用療法について、医薬品評価委員会(CHMP)が進行卵巣がんに対する維持療法としての承認を勧告したと発表した。適応疾患は、相同組換え修復機能欠損(HRD)陽性の進行卵巣がん患者に対する初回治療後の維持療法。
 今回の欧州医薬品庁(EMA)のCHMPによる肯定的見解は、P3相試験(PAOLA-1試験)のバイオマーカーによるサブグループ解析に基づくもの。同試験結果は、The New England Journal of Medicine誌にも掲載されている。
 同試験において、リムパーザとベバシズマブの併用療法による維持療法により、病勢進行または死亡のリスクが67%低下することが示された(ハザード比0.33;95% 信頼区間0.25-0.45)。HRD陽性の進行卵巣がん患者において、リムパーザとベバシズマブの併用療法群では無増悪生存期間(PFS)中央値が37.2カ月に延長したのに対し、ベバシズマブ単独療法群では17.7カ月であった。
 進行卵巣がんの一次治療は、寛解を長期的に維持して病勢進行をできるだけ遅らせることを主目的とする。卵巣がんは、欧州では5番目に多いがんによる死因で、患者は進行がん(ステージⅢまたはⅣ)になってから診断されるケースが多いため、5年生存率は約45%に留まる。
 2020年欧州臨床腫瘍学会のバーチャル会議において発表されたPAOLA-1試験の最新データでは、維持治療におけるリムパーザとベバシズマブの併用療法が、HRD陽性の進行卵巣がんにおいて、ベバシズマブ単独群との比較で、重要な副次評価項目である二次進行までの期間(PFS2)の統計的に有意な延長を示した。
 その結果、リムパーザとベバシズマブの併用療法群では、リムパーザとベバシズマブの併用療法は一次疾患進行以降も有益であることが示され、PFS2が中央値で50.3カ月まで延長した。これに対しベバシズマブ単独群では35.3カ月であった。
 ベバシズマブとの併用療法におけるリムパーザは、HRD陽性の進行卵巣がんの初回治療後の維持療法として米国をはじめ数カ国で承認されており、現在その他複数の国でも薬事承認審査中である。

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