オプジーボ+化学療法 ファーストラインの胃がん・食道がんP3試験で好結果 小野薬品

 小野薬品は23日、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)と化学療法の併用療法について、胃がんおよび食道がんの全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)で化学療法と比較して、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示したピボタルなP3相 CheckMate-649試験の主要結果を発表した。対象疾患は、ファーストラインの切除不能な進行または転移性胃がん、胃食道接合部(GEJ)がんまたは食道腺がん。21日に、ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)が公表したもの。
 オプジーボは、化学療法との併用により、胃がん、GEJがんまたは食道腺がん患者において、化学療法と比較して、良好な OS およびPFSの延長を示した最初のPD-1阻害薬。OSおよびPFSのベネフィットは、combined positive score(CPS)が5以上のPD-L1陽性患者で認められ、同試験の主要評価項目を両方とも達成した。OSのベネフィットは、全無作為化集団においても認められた。
 CPSが5以上のPD-L1陽性患者において、OSの中央値は、オプジーボと化学療法の併用療法群で 14.4 カ月(95% CI:13.1 – 16.2)、化学療法群で11.1カ月(95% CI:10.0 – 12.1)であった(ハザード比 [HR]:0.71、98.4% 信頼区間 [CI]:0.59 – 0.86;p<0.0001)。
 PFS の中央値は、オプジーボと化学療法の併用療法群で 7.7 カ月(95% CI:7.0 – 9.2)、化学療法群で 6.0 カ月(95% CI:5.6-6.9)であった(HR:0.68、98% CI:0.56 – 0.81;p<0.0001)。
 同試験におけるオプジーボと化学療法の併用療法群の安全性プロファイルは、オプジーボと化学療法の併用療法でこれまでに報告されているものと一貫しており、新たな安全性シグナルは認められなかった。
 CheckMate-649試験は、これまでに実施された胃がんおよび食道がん患者のファーストラインの治療において、免疫チェックポイント阻害薬による最大規模のグローバル無作為化P3相試験である。
 ヨハネス・グーテンベルク大学マインツ メディカルセンター、消化器腫瘍科教授のMarkusMoehler(M.D.)氏は、「HER-2陽性以外の進行または転移性胃がん、胃食道接合部がんに対する現在のファーストラインの標準治療は、化学療法である」と指摘する。
 さらに、「化学療法は、これらの患者にとって重要な治療選択肢ではあるものの、化学療法単独による生存ベネフィットは限られており、投与開始から1年未満である場合も少なくない」と明言。
 その上で、「進行または転移性上部消化管がんのファーストライン治療に対しては、現在承認された免疫療法薬がなく、世界中のこれらの患者が画期的な治療法を早急に必要としている」と強調する。
 オプジーボと化学療法の併用療法による統計学的に有意なOSのベネフィットは、CPS が 1 以上のPD-L1陽性患者および全無作為化集団においても認められた。全無作為化集団において、OSの中央値は、オプジーボと化学療法の併用療法群で13.8カ月(95% CI:12.6 – 14.6)、化学療法群で 11.6 カ月(95% CI:10.9 – 12.5)であった(HR:0.80、99.3% CI:0.68 – 0.94;p=0.0002)。
 CPSが1以上のPD-L1 陽性患者において、OS の中央値は、オプジーボと化学療法の併用療法群で14.0 カ月(95% CI:12.6 – 15.0)、化学療法群で11.3カ月(95% CI:10.6 – 12.3)であった(HR:0.77、99.3% CI:0.64 – 0.92;p=0.0001)。
 グレードを問わない、およびグレード3~4 の重篤な治療に関連する有害事象(TRAE)の発現率は、化学療法群(グレードを問わない:12%、グレード 3~4:10%)と比較して、オプジーボと化学療法の併用療法群(グレードを問わない:22%、グレード 3~4:17%)でやや高くなった。
 グレードを問わない、またはグレード3~4の投与の中止につながるTRAEの発現率は、オプジーボと化学療法の併用療法群でそれぞれ36%および17%、化学療法群で24%および9%であった。オプジーボと化学療法の併用療法群における TRAE の発現率は、患者のサブグループ全体で一貫していた。
 これらのデータは、2020 年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)バーチャル総会のプレジデンシャルシンポジウムで、 21 日に発表された。

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