中外製薬と武田薬品は10日、抗 PD-L1ヒト化モノクローナル抗体「テセントリク点滴静注」とキナーゼ阻害剤「カボメティクス」の併用療法について、国内での開発を両社で実施すると発表した。
日本における両剤の併用療法の開発は、Roche社とExelixis社間で締結された全世界におけるアテゾリズマブとカボザンチニブの併用療法に関する共同開発契約に基づき、日本国内での権利を有する中外製薬と武田薬品が実施する。
現在、新たな治療法としてのアテゾリズマブとカボザンチニブ併用療法を検討する3つのグローバルP3試験( CONTACT 試験)が複数のがん種を対象として進行中で、中外製薬と武田薬品は国内からもこれらの臨床試験に参加する予定だ。
テセントリクは、腫瘍細胞または腫瘍浸潤免疫細胞に発現するタンパク質であるPD-L1を標的とする免疫チェックポイント阻害剤である。PD-L1は、T細胞の表面上に発現している PD-1、B7.1の双方と結合しT細胞の働きを阻害する。テセントリクはこの結合を阻害しT細胞の抑制状態を解除することで、T細胞による腫瘍細胞への攻撃を促進すると考えられている。
国内では、「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」、「進展型小細胞肺癌」および「PD-L1 陽性のホルモン受容体陰性かつHER2 陰性の手術不能又は再発乳癌」に対する効能・効果について承認を取得している。また、本年2月にテセントリクおよびアバスチン併用による切除不能な進行・再発の肝細胞がんに対する治療薬として、厚生労働省に製造販売承認申請を実施し、同省より優先審査品目に指定されている。
一方のカボメティクスは、EUやその他の国および地域において承認されている。日本では、「カボメティクス錠」の製品名で、根治切除不能又は転移性の腎細胞がんに対する治療薬として、本年3月、厚労省より製造販売承認を取得し、5月に発売された。また、本年1月には、がん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞がんに対する治療薬として製造販売承認申請している。