男性や女性の更年期を改善する精力剤として、医薬品やサプリメント、健康食品など数多くの商品が発売されている。だが、「精力剤を使っているが、効果がない」と言う声は少なくない。その要因は、一般消費者が、服用している精力剤が「医薬品なのか」、「サプリメントや健康食品なのか」を意識せず、「イメージ買い」していることが大きいと考えられる。そこで、滋養強壮の相談実績33年以上、300万人越えの購入実績を誇る精力剤の相談薬局「あかひげ薬局」の内原茂樹社長に、開局の経緯やその理念、精力剤の選び方のポイントなどを聞いた。
もともと製薬メーカーのサラリーマンをしていた内原氏は、その頃から「精力剤に興味があった」会社の営業で薬局・薬店を回った時、「精力剤は面白いから専門店やりませんか」と経営者に声掛けしても、異口同音に「面白そうだけど、私はできない。あなたがやってみては」との答えが返ってきた。
「一生サラリーマンで居たかったけど、無趣味だったので、趣味で精力剤専門薬局を名古屋で始めた」と33年前を懐かし気に振り返る。内原氏37歳の時で、「資本もなかったので、1年間やって利益が出なければ薬局を閉める。それでも良ければ来てほしい」という条件付きで薬剤師と店長を募集した。
その当時も、東京、大阪、横浜などで精力剤を専門に販売する店はたくさんあった。だが、「どの店も売上はあるものの、効く薬を売っているところが少ない」との印象が拭えなかった。
例えば、「糖尿病、心臓病、腎臓病に治療をしている人にも、一律に同じ精力剤を販売している。前立腺肥大の治療をしている患者には、男性ホルモンの軟膏は薦めないなどの配慮がなされていなかった」と指摘する。
「どうして、数ある医薬品の精力剤の中からお客さんに合った“効く薬”を売るやり方をしないのか」と強い疑問を持った。「顧客の体質・症状・病気の有無により、個々人に合った効く薬を提供すれば、消費者もきっと付いてきてくれる。特段、難しいことではない」と痛感し、「本当に効く薬の提供」を理念に、名古屋の精力剤専門薬局がスタートした。
その丸2年後に、東京の大塚に出店した。「名古屋の次は、近隣の岐阜やせめて大阪が通常なのになぜ東京なのか」とよく尋ねられた。
理由はいたって明快だ。あかひげ薬局が広告を打っていた「週刊文春」、「週刊新潮」、「週刊ポスト」、「週刊現代」、「週刊大衆」などの週刊誌は、「当時、どれも関東が販売数の6割を占めていた」からだ。残りの4割が、全国ローカルで販売されていた。東京進出には、「せっかく数種類の週刊誌に広告を打っているのだから、東京以外の出店は意味がない」という内原氏の深い読みがあった。
東京出店の際にも、上野、歌舞伎町、赤坂などの精力剤専門店を見て回った。やはり、「どこも商売上手だが、効く薬を売っているところは少ない」という印象を持ち、「これなら出店できる」と意を強くした。
ED・勃起不全も、他の疾患と同様に様々な程度があり、顧客の体質によって異なるのは言うまでもない。ベテランの薬剤師がカウンセリングして顧客の体質や慢性疾患などを詳しく聞き出し、「効く薬を選択する」のが、精力剤の相談薬局「あかひげ薬局」の真骨頂だ。「売上至上主義ではなく、本当に効くものだけを売る」理念が、顧客を定着させていった。現在では、東京、大阪、札幌、広島、福岡の各地で、合計10店舗を構えるまでに成長を遂げている。
大半のドラッグストアも精力剤については、1~2品の人気商品を置いている。だが、「1品~2品では、顧客が様々な症状を訴求していたとしても、選択の余地がない」と断言する。
風邪をひいて薬局に行けば、「喉が痛い」、「熱がある」、「咳をする」などの様々な症状に適応した一般用医薬品が選択される。同様に精力剤も、「その人の症状に合ったものを選択するには、10~20種類は必要になる」と言い切る。
近年は、ネット上で、たくさんのサプリメントや、健康食品、清涼飲料水などの精力剤の販売が見かけられる。「薬局以外のサイトの全ての商品はサプリメントや健康食品で、医療用医薬品や一般用医薬品のように効能効果を謡うことはできない」と強調する。
すなわち、「サプリメントや健康食品を、如何にも効果があるように見せかけて巧みに売っているのであって、厚生労働省が効能効果を認めている医薬品ではない」というわけだ。「これらの商品には薬効は期待できない。医薬品であるかどうかは、風邪薬や胃薬のように、パッケージにある効能・効果の記載で判別できる。必ず確認して、効く薬を使ってほしい」と訴求する。
また、同じ朝鮮人参でも、6年根以上のものでないと局方品(日本薬局方に収載されている医薬品)ではない。「健康食品には、1から3年物の朝鮮人参が入っている場合が多く、効果は期待できない。医療従事者はその点を判っているが、一般消費者に説明するのは難しいので、マスコミに出演している時にできるだけ説明するようにしている」ちなみに、現在は改善されて、朝鮮人参の3年物以下でも以前の内容成分よりは良くなっている
また、健康食品やサプリメントであっても、「巧みな宣伝文句」、「重厚な包装」、「値段の高さ」から「良く効くのではないか」と「イメージ買い」を誘う商品が少なくない。「それが、顧客の「精力剤を使っているが、効果がない」という声の大きな要因になっている。
「日本には、精力剤として効く薬は必ずある。心臓病、肝臓病、人工透析の人でも、70歳、80歳、90歳の人でもその人に合った薬があるので、決して諦めることはない。効く薬を使えば効くのが当たり前であるが、その当たり前なことができていない」と訴えかける。
その一方で、「現在、医薬品の精力剤を製造しているメーカーが少い」ことにも危機感を抱く。それらのメーカーの殆どが、年商3億円にも満たない零細企業であるためだ。
昔の医薬品の精力剤には、メインの生薬に、男性ホルモンや女性ホルモンを配合しているケースが多い。男性の精力剤に女性ホルモンが入っているのは、男性ホルモンとのバランスを取るためで、相当前に、その女性ホルモンが要指示薬に指定された。そのために女性ホルモンを外せば、バランスが取れなくなって男性ホルモンも含有できなくなる。
女性ホルモンの要指示薬指定を契機に、大手製薬企業は精力剤から撤退して行き、既得権のある零細企業のみが細々と生き残っているのが現状だ。こうして、「精力減退」、「勃起力減退」、「衰弱性射精」、「老衰性陰萎」、「ED」の効能効果を持つ医薬品の精力剤のメーカーは零細企業のみになり、その行く末が懸念されている。
あかひげ薬局の顧客は7~8割が男性で、50代後半から60代、70代の年齢層が大半を占める。最近は、若い10代、20代の顧客も珍しくないようだ。
カウンセリングでは、「男性はプライドがあるので、なかなか本当の症状を言わない」傾向が強い。自分が薬を必要とするのに「上司に言われて買いに来た」とか、「その人の親が、息子夫婦の不妊を心配して来局した」ケースもよくある。従って、カウンセリングする薬剤師は、「顧客の説明をそのまま鵜呑みにするのではなく、その背景をよく考えて薬を選択する必要がある」
例えば、勃起薬の中には、勃起中枢を刺激して勃起させる薬剤がある。昔は、勃起中枢と、射精中枢は同じものと思われていた。だが、現在は、別の神経であることが判明している。
勃起中枢が正常な人は十分勃起するが、射精中枢が弱っている人はいくら勃起しても精液が出ないため、カウンセリング時には「勃起できないのか、勃起しても精液が出ないのかをうまく聞き出す会話のテクニック」が求められる。
内原氏は、医療用医薬品のED薬のバイアグラ、シリアス、レビトラにも言及し、「これだけでEDが全て解決されるわけではない」と指摘する。その上で、「院外処方箋を応需して服薬指導しているが、4~5年も長期間服用していたり、集中して使用する人の中には2~3年で効き目が悪くなってくる症例も経験している。闇雲に連用するのではなく、必要な時に必要な量を服用することが望ましい」と強調する。バイアグラ等を服用していても、「ED治療の原点に立ち返って、睾丸で男性ホルモンを生成して自力で勃起できるようにすることも忘れてはならない」
不妊治療の相談では、「亜鉛製剤やニンジン系の医薬品の服用で、子供ができた実例がたくさんある」という。「少子化が社会問題になっている昨今、一組でも多くのカップルに元気な赤ちゃんを作って頂きたい。我々は、是非そのお手伝いをしたい」とほほ笑む。
気になるあかひげ薬局の“イメージガール採用”については、「これまで2~3年に一回変更してきたので、これまでに20名程度採用している。最初の8代目ぐらいまでは、どの事務所にも所属していない普通のOLや女子大生を採用していた」その後、「あかひげのイメージガールになれば、週刊誌やテレビCMでの露出が多くなり、ブレークの切っ掛けになるということで、タレント事務所からの売り込みが多くなってきた」
内原氏は、「いくらスタイルが良くてきれいな顔立ちでも、目に留まらない人もいる。基本的に、自分の好みでない人を選べば、インパクトのある人を採用することができた」と明かす。
雑誌をパラパラとめくっていて、イメージガールが目に留まれば、あかひげ薬局の広告も見て貰える。目立って好感度の高いイメージガールは、「テレビ局から事務所を教えてほしいと依頼されたこともあった」
内原氏自身も、「ケンコバのバコバコTV」(サンTV)、「ビーチ9」(テレビ埼玉)、「教えて!あかひげ先生」(東海ラジオ)、「北野誠 性の悩みにズバリ」(CBCラジオ)等のレギュラー番組を持ち、「性の悩み解消」に余念がない。