マラリアの早期発見・早期治療でマラリア排除に貢献  シスメックス

 シスメックスは、8月20日の“世界蚊の日”にちなんで、自社の検査・診断領域において、「マラリアの早期発見・早期治療実現による世界のマラリア排除(マラリアエリミネーション)への貢献」を改めて訴求した。「世界蚊の日」は、1897年8月20日に、イギリスの医学者ロナルド・ロス博士が、マラリアが雌のハマダラカに刺されることによって感染することを発見した日に由来している。
 シスメックスは、持続可能な社会の実現および同社の持続的な成長に向けて優先的に取り組むべき課題の一つに「製品・サービスを通じた医療課題解決」を掲げている。
 その一環として、マラリアの早期発見・早期治療に貢献するマラリア検査の自動化を実現。現在、マラリアが蔓延しているアフリカを中心に装置の導入を進めているが、並行して、海外で罹患したマラリア患者を治療する日本やフランス等の先進国の施設などでも新たな装置の導入に向けた評価を進めている。
 また、本年11月に開催される日経FT感染症会議などの国際シンポジウムへの参画や、感染症対策のための産官学連携強化の取り組み等により、世界におけるマラリア排除への貢献を目指している。
 日本では、マラリアは稀な輸入感染症であるが、世界では人口の約半数にあたる約40億人が感染リスクにさらされている。また、WHOは、昨今の新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりマラリア患者の治療や蚊帳などの対策が中断された場合、2020年のマラリアによる死亡者数は、2018年と比較して倍増する可能性を懸念している。
 マラリアはWHOが定める世界三大感染症の一つであり、蚊を媒介としてマラリア原虫によって引き起こされる原虫感染症だ。WHOの「World malaria report 2019」によれば、約40億人が感染リスクにさらされており、2018年の罹患者数は約2.3億人、死亡者数は約41万人と報告されている。


 また、マラリア流行地域以外も含め、年間推定3万人以上の旅行者や出張者が移動先でマラリアに感染し、帰国後に発症した症例が報告されている。すでにマラリアが撲滅された日本も例外ではなく、海外からの帰国者がマラリアを発症した症例はこれまで年間約50例以上報告されている。
 国際社会共通の目標である「持続可能な開発目標(SDGs)」では、2030年までにHIV/AIDS、結核などと並びマラリアの根絶が掲げられており、その目標達成に向けて世界中でさまざまな活動が展開されている。
 現在、マラリア検査は、主に感染赤血球を目視する顕微鏡検査、もしくは抗原/抗体反応を用いた簡易キットで実施されている。いずれも前処理を含めて約15~30分の時間がかかる上、顕微鏡検査には熟練の技術を要するという課題がある。PCR検査は、検出感度が高く、原虫種の鑑別も可能であるが、コストが高く、高度なインフラやトレーニングが必要なことから、主に研究目的で使用されている。
 日本国内ではマラリアは撲滅していることもあり、マラリアが疑われず別の疾患として見逃されたり、マラリア検査が迅速に行えないために診断や治療が遅れるケースがある。中でも熱帯熱マラリアは発症から24時間以内に治療しなければ重症化し、最悪の場合、死に至る。
 診断や治療の遅れが重症化を引き起こすリスクとなることから、マラリアに対する早期診断および検査の効率化・標準化が重要となっている。

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