アストラゼネカは4日、非小細胞肺がん(NSCLC)のタグリッソ(一般名:オシメルチニブ)によるEGFR変異陽性肺がん術後補助療法の評価を行うP3試験(ADAURA試験)において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある無病生存期間(DFS)の延長を示したと発表した。同試験の対象患者は、根治的に腫瘍を完全切除した早期ステージ(ⅠB期、Ⅱ期およびⅢA期)の上皮成長因子受容体遺伝子変異陽性(EGFRm)非小細胞肺がん(NSCLC)。
同試験結果は、5月31 日(現地時間)に米国臨床腫瘍学会(ASCO)バーチャルサイエンティフィックプログラムのプレナリーセッションで発表された。
ADAURA試験の主要評価項目は、ステージⅡ期、ⅢA期の患者のDFSで、タグリッソによる術後補助療法は、再発または死亡リスクを 83%減少させた(ハザード比:0.17; 95%信頼区間 0.12 – 0.23; p 値 0.0001)。 また、副次評価項目の1つである全症例(ⅠB~ⅢA)のDFSでは、再発または死亡リスクを79%減少させた(ハザード比:0.21; 95%信頼区間 0.16 – 0.28; p 値 0.0001)。
また、2年経過時点において、タグリッソ投与群の89%が無病生存しており、比較対象のプラセボ投与群では53%であった。タグリッソ投与群における DFSの延長は、腫瘍切除後に化学療法を受けた群、切除手術のみを受けた群、アジア人および非アジア人など、全てのサブグループにおいて一貫して認められた。
同試験におけるタグリッソの安全性と忍容性は、転移性 NSCLC患者を対象にしたこれまでの試験と一致していた。治験担当医師による評価でグレード3 以上となる有害事象の発生率は、タグリッソ投与群で10%、プラセボ投与群で3%であった。
ADAURA試験治験責任医師で、Yale Cancer Center / Smilow Cancer Hospital腫瘍内科部長のRoy S. Herbst氏は、「今回示されたデータは、切除手術および術後化学療法を問題なく終えてもなお再発率が高い、早期ステージのEGFRmのNSCLC患者治療に変革をもたらす」と強調。その上で、「タグリッソは、治療プラクティスを変え、治療アウトカムを改善する可能性のある、待ち望まれていた新たな治療選択肢になるだろう」とコメントしている。
タグリッソは、米国、日本、中国、EU およびその他多くの国において、局所進行性または転移性 EGFRmのNSCLC患者に対する1次治療として承認されている。