オプジーボのP3併用試験PD-L1発現率1%以上の肺がん一次治療で好結果

 小野薬品は14日、オプジーボとヤーボイの併用療法のP3試験(CheckMate -227試験)の3年間のデータで、PD-L1発現率が 1%以上のファーストラインの進行非小細胞肺がん患者において、化学療法と比較して、持続的な長期生存ベネフィットを示したと発表した。同試験結果は、13日にブリストル・マイヤーズスクイブ社(BMS)が公表したもので、進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者のファーストラインの治療薬として、全生存期間(OS)および他の有効性評価項目において持続的な改善を示した。
 3年以上の追跡期間の時点(中央値:43.1 カ月)で、PD-L1発現率が1%以上の患者において、オプジーボとヤーボイの併用療法が、化学療法と比較して、引き続き生存ベネフィットを示した[ハザード比(HR):0.79;95%信頼区間(CI):0.67 – 0.93)]。
 この患者集団の3年生存率は、オプジーボとヤーボイの併用療法群で33%、化学療法群で22%であった。また、オプジーボとヤーボイの併用療法はこれらの患者の病勢進行または死亡を遅延させ、3年無増悪生存(PFS)率は、併用療法群で 18%、化学療法群では 4%であった。
 PD-L1発現率が1%以上の患者で、オプジーボとヤーボイの併用療法群の奏効率は38%で、奏効開始から3年間奏効が持続したのに対し、化学療法群の奏効率は4%であった。
 これらの奏効は、治験実施計画書に基づく、最長 2 年間のオプジーボとヤーボイの併用療法後の無治療期間でも持続していた。奏効例によるOSの探索的ランドマーク解析では、PD-L1 発現率が1%以上で、6カ月までにオプジーボとヤーボイの併用療法に完全奏効または部分奏効を示した患者の3年生存率が70%であったのに対し、化学療法群では 39%であった。
 PD-L1発現率が1%未満の患者での探索的解析においては、3年生存率はオプジーボとヤーボイの併用療法群で 34%、化学療法群では 15%であった(HR 0.64;95% CI:0.51 – 0.81)。
 さらに、割り付け時点からの無増悪生存率は、併用療法群で13%、化学療法群で2%であった。奏効開始から3年間奏効が持続した患者の奏効率は、併用療法群で34%、化学療法群では0%であった。
 オプジーボとヤーボイの併用療法の安全性プロファイルは、NSCLC を対象とした試験でこれまでに報告されたものと一貫しており、新たな安全性シグナルは認められなかった。
 これらの結果は、29日~31日にオンラインで開催される2020年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で口頭発表される予定。
 CheckMate-227 試験の治験担当医師のSuresh S. Ramalingam(M.D. エモリー大学ウィンシップがん研究所の副所長、エモリー大学医学部のがん研究副学部長)は、「非小細胞肺がんは複雑で悪性度の高い疾患であり、近年治療法は進歩しているものの、患者は依然として、長期生存ベネフィットをもたらし得るさらなる治療選択肢を必要としている」と指摘する。
 さらに、「CheckMate-227 試験の3年間の結果は、オプジーボとヤーボイの併用療法が、非小細胞肺がんのファーストライン治療薬として持続的な生存ベネフィットをもたらすというエビデンスを示している」と明言。その上で、「このデータは、PD-1および CTLA-4の両方を阻害することが、特定の患者に深く持続的な奏効をもたらし得る科学的な根拠をさらに裏付けるものである」とコメントしている。
 また、最短3年間の追跡調査において、オプジーボとヤーボイの併用療法は、PD-L1発現率が1%以上の患者ではオプジーボ単剤療法との比較で、PD-L1発現率が1%未満の患者ではオプジーボと化学療法の併用療法との比較で、引き続きベネフィットを示した。
 現在、オプジーボとヤーボイの併用療法は、進行非小細胞肺がん、悪性黒色種および腎細胞がんの三つのがん腫におけるP3試験で長期間の全生存期間の結果を得ており、ファーストラインの悪性胸膜中皮腫を対象としたピボタルな試験およびファーストラインの非小細胞肺がんを対象とした二つ目の試験においても肯定的なデータが得られている。
 これらに加えて、PD-L1 発現患者において主要評価項目である全生存期間を達成したことで、オプジーボとヤーボイの併用療法の5つ目の適応となる「ファーストラインでの非小細胞肺がん治療薬」のFDAからの承認取得を目指している。

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