リムパーザ 前立腺がん限定治療のP3試験で好結果  アストラゼネカ

 アストラゼネカは、リムパーザ(一般名:オラパリブ)を評価するP3試験(PROfound試験)のさらなる良好な結果を発表した。同試験は、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者のうち、相同組換え修復関連遺伝子変異陽性(HRRm)であり、かつ前治療として新規ホルモン製剤(NHA)による治療(エンザルタミドまたはアビラテロン酢酸エステル)を行い、病勢進行が認められた患者を対象に実施されているもの。
 今回の試験では、HRRm を有する患者集団のうち、主要な解析集団である BRCA1/2 遺伝子または ATM遺伝子変異陽性の mCRPC患者の患者集団において、リムパーザ投与群をエンザルタミドまたはアビラテロン酢酸エステル投与群と比較。その結果、主要副次評価項目である全生存期間(OS)の統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示した。
 昨年8月には、PROfound試験においてリムパーザがBRCA1/2遺伝子または ATM遺伝子変異を有する患者集団において、画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)の有意な延長を示し、主要評価項目を達成している。また、同試験では主要な副次的評価項目である全HRRm患者集団におけるrPFSの統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長も達成している。
 リムパーザの安全性および忍容性は、これまでに行われた試験の安全性プロファイルと概ね一致していた。試験結果の詳細データは、今後の学会で発表される予定。同剤は、2020 年 1 月に米国でHRR関連遺伝子変異を有するmCRPC患者の治療薬として優先審査指定を受け、欧州およびその他の地域においても薬事承認審査が進行中である。アストラゼネカとMSD は、リムパーザをアビラテロン酢酸エステルとの併用療法でmCRPCの1次治療として評価するために実施中のP3試験(PROpel試験)など、前立腺がんに関する臨床試験を今後も実施していく。なお、PROpel試験は 2021年に最初のデータ解析を予定している。
 アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントである José Baselga氏は、「mCRPC患者におけるOS の延長は、これまで達成が非常に困難であった」と指摘。その上で、「我々は、今回のリムパーザの試験結果に大きな期待を寄せており、この薬剤を1日も早く患者に届けられるよう、規制当局と連携していく」とコメントしている。

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