治験支援で国内初オンライン診療機能システム提供開始     シミック

MICINが提供するオンライン診療システムを用いて、医師と患者がビデオ通話で診察を実施、その診察データはシステム内に直接記入が可能で、別で用意されるEDCシステムへの転送もできる。

 シミックとMICINは27日、MICINが開発したオンライン診療サービスをもとに、バーチャル臨床試験システム「MiROHA (ミロハ)オンライン診療」を共同開発し、同日付けで提供開始したと発表した。同システムは、臨床試験・臨床研究等の医薬品開発支援への応用を目的としたもの。臨床試験・臨床研究等を行う製薬企業、CRO、アカデミアを対象に提供を開始する。
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大による影響が日々深刻さを増している中、厚生労働省よりオンライン診療に関する事務連絡が発出された。患者や医療従事者の感染リスク低減が期待されることから、臨床試験の現場においてもオンライン診療への関心が非常に高まっている。
 「MiROHA オンライン診療」は、臨床試験での特殊なデータ収集要件を満たすためにeSource(Electronic Source Data:臨床試験の原資料となり得る電子原データ)機能を搭載した、国内初の臨床試験用オンライン診療システムである。
 ビデオ通話機能の活用により、通院での受診回数を削減し、被験者の負担を軽減する。結果として、臨床試験の実施医療機関への通院が困難な患者の試験への参加機会が拡がり、臨床試験の登録が促進され、早期の症例登録による臨床開発費削減への寄与が期待さる。
 また、同システムにより、試験実施医療機関と被験者との間のコミュニケーションが促進され、服薬方法が複雑な試験薬のアドヒアランスの向上や、被験者の臨床試験の継続意思に関わる情報の速やかな伝達など、様々な効果も期待される。

オンライン診療の際の画面案。医師は医療機関のPCから患者とのビデオ通話画面およびデータ入力画面を一画面で閲覧しながら診察できる。


 さらに、同システムでは、医療機関側の受け入れが困難な状況時でも、被験者に対する診療が可能であり、新型コロナウイルス感染症のリスク対策の一助となることが期待される。
 同システムのeSource機能は、オンライン診療時の診察情報や臨床試験のために収集・整理が必要な情報を、電子化されたワークシート上で入力・管理することが可能となっている。これにより、紙での情報管理と比較して、臨床試験データの品質の向上が期待される。
 同時に、電子ワークシートへ入力されたデータは連携されたEDC(Electronic Data Capture:臨床検査情報の電子的収集)への自動反映も可能で、オンライン診療時のデータのみならず、臨床試験全体のデータ取り扱いもできるため、試験実施医療機関におけるEDCへの転記作業およびCRAによる医療機関訪問回数の削減、試験依頼者によるタイムリーなデータの確認など、臨床試験の効率化・品質向上に貢献する。
 シミックの藤枝徹社長は、「昨今、個別化医療の進展により臨床試験が複雑化し、対応可能な医療機関が限られるなど、患者の治験へのアクセシビリティが一つの課題となっている。また、COVID-19拡大により、臨床試験の円滑進行が危ぶまれるなどの課題も発生している」と指摘。その上で、「オンライン診療は、これら課題の解決策の一つとなる新たなチャレンジとして、非常に重要と考えている」とコメントしている。

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