塩野義製薬は27日、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症(COVID-19)に対する予防ワクチンの開発を正式決定し、年内に臨床試験を開始するスケジュールを発表した。
SARS-CoV-2は、世界的な脅威となっており、感染拡大の防止や治療薬、ワクチンの開発など迅速な対応が求められている。
同社は、感染症を重点疾患領域に掲げる製薬企業として、公的機関やアカデミア、パートナー企業と連携し、COVID-19に対する治療薬の創製、ワクチンの開発、ならびに抗体検査キットの提供に向けた取り組みを進めている。
ワクチン開発については、同社グループ会社のUMNファーマが、日本医療研究開発機構(AMED)の支援する研究開発課題である「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン開発に関する研究」に本年3月より参画。UMNファーマの有する昆虫細胞などを用いたタンパク発現技術(BEVS)を活用した組換えタンパク抗原の作製を進めている。
今回、同ワクチンの開発をCOVID-19治療薬の創製と並ぶ同社の最優先プロジェクトの1つに位置付け、速やかな非臨床および臨床試験への移行と、1000万人規模の提供を可能とするスケールアップ検討に着手できるよう、取り組みを加速する決定に至った。
現時点では、年内に臨床試験を開始すべく、厚生労働省や医薬品医療機器総合機構(PMDA)、共同研究先である国立感染症研究所等、関係各所との協議・相談を進めている。
塩野義製薬は、取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として「世界を感染症の脅威から守る」ことを特定し、治療薬の研究・開発だけに留まらず、啓発・予防・診断といった感染症のトータルケアに対する取り組みを進めている。同社は、パンデミックの早期終息による社会の安心・安全の回復に貢献するため、国を代表する感染症対策の専門機関である国立感染症研究所との連携を密にし、COVID-19に対する国産ワクチンの早期開発・提供が可能となるよう鋭意取り組んでいく。
なお、同件が2021年3月期の連結業績予想に与える影響は、現時点では未定である。今後の状況の変化により、業績に与える影響を認識した時点で速やかに公表する。