大阪府、大阪市、大阪大学、公立大学法人大阪、大阪府立病院機構及び大阪市民病院機構は14日、新型コロナウイルス感染症にかかる予防ワクチン・治療薬等の研究開発に係る連携に関する協定を締結したと発表した。同協定は、新型コロナウイルス感染症にかかる予防ワクチン・治療薬等の早期実用化に向け、研究開発を推進し、治験や臨床研究等の実施に向けた連携を目的としたもの。
連携協定締結の共同発表では、会見した吉村洋文大阪府知事、松井一郎大阪市長が、「新型コロナウイルス感染症に対するワクチン開発について7月の臨床試験入りを目指す」とのコメントを発信した。また、新型コロナウイルス予防ワクチンの開発を迅速に行うため、協定に基づき治験の大学審査を早めることなども確認された。
アンジェスが新型コロナワクチン早期実用化で大阪市大病院と提携
こうした中、大阪大学と新型コロナウイルスプラスミドDNAワクチンを共同開発しているアンジェスは、14日付けで、大阪市立大学医学部附属病院と「新型コロナウイルス予防ワクチン開発に係る連携に関する協定書」を締結した。同協定書締結により、新型コロナウイルス予防ワクチンの治験及び臨床研究を適正かつ効率的に実施する体制を整備し、早期の実用化に向けた開発を推進する。
DNAワクチンは、危険な病原体を一切使用せず、安全かつ短期間で製造できる特徴がある。対象とする病原体のたんぱく質をコードする環状DNA(プラスミド)を接種することで、病原体たんぱく質を体内で生産し、病原体に対する免疫を付与する。弱毒化ワクチンとは異なり、病原性を全く持たないため、安全性が非常に高い。
大阪大学とアンジェスが開発する新型コロナウイルス DNAワクチンは、WHO(世界保健機関)が公開しているワクチン開発組織一覧にも掲載されている。アンジェスでは、プラスミド DNA製造技術を用いて、HGF治療用製品を実用化させた実績を元に、同ワクチン開発に臨んでおり、非臨床試験から速やかに臨床試験への移行を目指す。
アンジェスでは、当初、新型コロナウイルスDNAワクチンの臨床試験を9月から予定していたが、動物実験の進捗が順調なため、厚労省と協議して2か月前倒して7月に治験を開始し、9月に実用化するスケジュールを示している。
また、同社は、14日、新型コロナウイルスDNAワクチン開発における抗体価測定のためのペプチド合成に関する研究で、ペプチド研究所が新たに参画すると発表した。
ペプチド研究所は、大阪大学蛋白質研究所に端を発する会社で、ペプチド医薬品原薬や研究用生理活性ペプチド、ペプチドに対する抗体などの研究、製造を行っている。
ペプチド研究所で長年にわたり培われたペプチド合成、精製および分析技術を駆使して調製された高品 質なペプチド-ウシ血清アルブミン結合体 (BSA コンジュゲート) を用いることで、抗体価を精度良く測定し、新型コロナウイルスDNAワクチンの早期実用化を目指す。