エンコラフェニブ・セツキシマブ併用療法 大腸がんの限定治療でFDAが承認      小野薬品

 小野薬品は13日、BRAF阻害剤「エンコラフェニブ」について、FDAが8日に、治療歴を有するBRAFV600E遺伝子変異陽性の転移性大腸がんの治療薬としてセツキシマブとの併用療法で承認したと発表した。具体的な適応症は、治療歴を有し、FDAが承認する検査法で検出されたBRAFV600E遺伝子変異陽性の成人の転移性大腸がん(mCRC)。FDAは、同申請をブレークスルーセラピー(画期的治療薬)に指定し、優先審査として受理した。
 今回の承認は、治療歴を有する BRAFV600E遺伝子変異陽性のmCRC 患者を対象に評価した唯一のP3試験である BEACON CRC試験の結果に基づくもので、小野薬品がライセンス契約するファイザー社が8日に公表した。ファイザー社は、米国の患者自身の恩恵を理解し、処方された同社のオンコロジー薬の資金援助に繋がるよう支援していく。
 BRAF遺伝子変異陽性は、mCRC患者の15%以下で発症すると推定されており、これらの患者の予後は不良だ。エンコラフェニブとセツキシマブの併用療法は、治療歴を有する BRAFV600E 遺伝子変異陽性のmCRC患者にとって、初めてかつ唯一の標的レジメンであり、新たな治療選択肢として期待されている。
 BEACON CRC試験の結果、エンコラフェニブとセツキシマブの併用療法群における全生存期間(OS)の中央値は、8.4 カ月(95%信頼区間:7.5-11.0)で、対照療法群(セツキシマブとイリノテカンもしくはセツキシマブとFOLFIRI を含むレジメン)で 5.4 カ月(ハザード比 0.60;95%信頼区間:0.45-0.79;p=0.0003)であった。
 また、対照療法群の奏効率(ORR)2%(95%信頼区間:0% – 7%)と比較して、エンコラフェニブとセツキシマブの併用療法群では 20%(95%信頼区間:13% – 29%)の改善を示した(p<0.0001)。無増悪生存期間(PFS)の中央値は、エンコラフェニブとセツキシマブの併用療法群で4.2カ月(95%信頼区間:3.7 – 5.4)、対照療法群で1.5 カ月(95%信頼区間:1.4 – 1.7)(ハザード比 0.40;95%信頼区間:0.31 – 0.52;p<0.0001)であった。
 エンコラフェニブとセツキシマブの併用療法群で最も一般的に報告された副作用(25%以上)は、疲労、悪心、下痢、ざ瘡様皮膚炎、腹痛、食欲減退、関節痛および発疹。
 ファイザー社のグローバル製品開発部門のオンコロジー、開発担当責任者の Chris Boshoff氏(M.D.、Ph.D.)は、「当社は、特定の遺伝子変異に関するがんの標的治療薬開発に取り組んでいる。セツキシマブとの併用療法でFDAからエンコラフェニブの承認を取得したことを嬉しく思う」と明言。その上で、「今後を見据えて、より早期治療ラインに対して、引き続き、この治療レジメンの探索に取り組んでいきたい」と抱負を述べている。

タイトルとURLをコピーしました