15分で判定可能な新型コロナ抗体検査試薬キット販売開始   クラボウ

新型コロナウイルス抗体検査試薬キット(IgG)

 クラボウは12日、研究用に新型コロナウイルスの抗体を15分で検出する検査試薬キットの国内販売を16日より開始すると発表した。
 新型コロナウイルス抗体検査試薬キットは、少量の血清・血漿・全血をピペッターで専用のテストストリップに添加したのち検体希釈液(専用試薬)を滴下すれば、15分で新型コロナウイルス感染の有無を目視で簡単に判定できる。そのため、少量の血液を用いた簡便な操作で、迅速な検査が可能となる。
 また、特殊な装置や専門知識も必要がないため、PCR法の遺伝子検査と比べても、時間、コスト、作業スペースの削減など検査の大幅な効率化が図れる。
 一般的なPCR法では、感染初期の患者に対しては、ウイルスの検出が難しいと言われているが、新型コロナウイルス抗体検査試薬キットでは、感染時に体内で生成される特定の抗体を検出するため、感染初期の患者に対しても判定が可能である。
 また、PCR法が採取サンプル中のウイルス量の影響を受けやすいのに対し、同キットでは血液中に抗体が存在すれば判定が可能なため、サンプル採取方法や採取部位による偽陰性が出にくい。加えて、血液を使って判定できるので、検体採取時に懸念される検査作業者への二次感染のリスクも軽減できる。
 新型コロナウイルス抗体検査試薬キットには、感染の初期段階で生成される抗体「IgM」用の検査キットと、感染後長期間にわたり最も多く生成される抗体「IgG」用の検査キットの2種類があり、これらを併用することで、より精度の高い検査が可能となる。
 なお、いずれのキットも体外診断用医薬品ではなく、新型コロナウイルスの抗体の有無を見るための研究用試薬キットとしての使用に限定される。
 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、現在国内では、遺伝子を増幅させるPCR法による検査が一般的に行われている。だが、この方法では結果が出るまでに時間を要し、患者の適切な処置の遅れにつながる危険性もある。
 また、新型コロナウイルスを使った試験・検証も難しく、試薬や検査キットの開発にも時間がかかることから、簡便で迅速な検査方法のニーズが高まっている。
 クラボウの環境メカトロニクス事業部バイオメディカル部は、これまで食品中の成分や食中毒菌などのDNAを短時間で判定できる核酸クロマト法やイムノクロマト法試薬キットの開発・販売を行ってきた。
 今回、中国の提携先企業が開発したイムノクロマト法の原理に基づいた「新型コロナウイルス抗体検査試薬キット」を日本国内に輸入し、販売を開始する。同検査は、中国における標準診断法の一つとして、3月4日に中国での診療ガイドラインに採用されている。
 新型コロナウイルス抗体検査試薬キットの主な概要は次の通り。
 ア.キット内容
  1キットで10検体分の試験が可能。
・テストストリップ10本
・専用ピペッター10本
・検体希釈液(専用試薬)1本
・取扱説明書1冊   
 イ.適用サンプル:血清・血漿・全血
 ウ.販売価格
・新型コロナウイルス抗体検査試薬キット(IgM)=2万5000円/キット(税別)
・新型コロナウイルス抗体検査試薬キット(IgG)=2万5000円/キット(同)  なお、1キットは10検体分
 エ.販売先(予定)
・衛生研究所、臨床検査会社などの研究・検査機関

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