アストラゼネカは11日、2019年の概況と通年業績を発表し、「成長への回帰にむけた最年度(19年通期)の業績は順調に前進した」と強調した。2019年の概況では、タグリッソ(非小細胞肺がん)、イミフィンジ(肺がん)、リムパーザ(乳がん・卵巣がん)、Calquence(白血病治療薬)など複数の新薬の上市や、承認およびdata readout(データの読み出し)など、パイプラインの更なる良好な進捗に支えられ、堅調な収益成長の年を実現した。
これらの傾向は、利益および現金の増大を伴い、2020年も継続するものと予想される。同社はその意欲的な戦略的目標の達成に向けて順調に進みながら、患者とサイエンスへのフォーカスを維持していく。
一方、2019年の業績は、通年の製品売上が対前年比12%増の235億6500万ドル(CERベースでは15%増)となった。この業績には第4四半期の製品売上62億5000万ドル (8%増、CERベースでは9%増)が含まれている。3つの治療領域および全ての売上地域において、第4四半期および年間を通じCERベースで成長した。
2019年のハイライトとしては、複数の新薬の売上は、75%増加した新興市場での新薬の売上18億6500万ドル(CERベースでは84%増)を含む59%増の99億600万ドル(CERベースでは62%増)となった。新薬は、製品売上合計の42%を占めた(2018年度:30%)。
オンコロジー領域の売上は44%増の86億6700万ドル(CERベースでは47%増)、New CVRM領域(3)の売上は9%増の43億7600万ドル(CERベースでは12%増)、呼吸器領域の売上は10%増の53億9100万ドル(CERベースでは13%増)。2019年度は、初めて通年の製品売上の約半分をスペシャリティケア領域が占めた。
新興市場の売上合計は18%伸長し81億6500万ドル(CERベースでは24%増)、うち中国の売上は29%成長した(CERベースでは35%増)。中国の売上は、第4四半期25%伸長し11億8900万ドル (CERベースでは28%増)。
米国の通年売上は13%増の77億4700万ドル、ヨーロッパの通年売上は2%減の43億5000万ドル (CERベースでは2%増)。日本の売上は27%増の25億4800万ドル(CERベースでは26%増)。
2019年業績についてのパスカル・ソリオ最高経営責任者(CEO) のコメントは次の通り。
成長への回帰にむけた最初の年度において、当社は戦略に沿って順調に前進した。複数の新薬および新興市場の業績は、直近では乳がん治療薬のEnhertuおよび白血病治療薬のCalquenceの薬事承認を含む患者にとっても朗報を伴うものであった。
また、第一三共との提携を含む社外提携も良好に進捗したことに加え、リムパーザが卵巣がんの1次治療として承認されるなど、年度末に中国において数件の薬事承認を取得した。
強力なチームにけん引され、2020年も昨年に続きアストラゼネカにとって飛躍の年となることが予想される。当社は、地域的にも製品構成の観点からも、よりいっそうバランスの良い医薬品企業になりつつある。この移行は営業レバレッジおよび現金創出の改善に向けたさらなる一歩となる。長期的な気候変動への対応および脱炭素化の目標達成に向けての取り組みを加速しつつ、サイエンスと患者を中心に据えた戦略遂行に引き続き注力していきたい。