持続可能な質の高い医療提供体制の確立目指して  千葉大学病院 次世代医療構想センター

千葉大学病院

 千葉大学病院 次世代医療構想センターでは、2025年以降の地域医療ニーズを見据えて、大学病院、地域の医療機関、千葉県の3者が中心となり、持続可能で質の高い、安定した地域の医療提供体制の確立を目指している。
 少子高齢化が進む昨今、急激な人口構成の変化を受けて厚生労働省は2025年と2040年を重要な区切りとした制度設計を急進している。2025年は「団塊の世代」が後期高齢者となる年であり、さらに2040年は「団塊ジュニア」が65歳以上を迎える。
 現在、これらの節目を目途に、「地域医療構想の実現」、「医師偏在対策の推進」、「医師の働き方改革の推進」を「三位一体改革」と位置付けた医療提供体制の改革が精力的に進められている。
 また、2018年の医師法・医療法の改正により、医療政策に関する権限の一部は国から都道府県に委譲され、今後、医療提供体制改革における都道府県の役割は益々重要となる。
 全ての都道府県は、2025年に向けて限られた医療・介護資源を効果的・効率的に活用し、市民が地域において安心で質の高い医療・介護サービスが受けられるよう、医療機関の病床機能の分化と連携の推進を目的とした「地域医療構想」を策定している。
 こうした中、千葉大学病院次世代医療構想センターでは、持続可能で質の高い、安定した地域の医療提供体制を確立するためのミッションとして、「地域医療構想の実現」、「医師偏在の解消」、「医師の働き方の改革」を掲げ、これら実現のための研究活動を推進している。

 次世代医療構想センターは、「次世代医療構想部門」と「政策情報分析部門」で構成される。「次世代医療構想部門」では、県内の医療に関連する組織や団体に対し現状の情報共有・意見交換の場の提供、政策医療分野である小児科・産科・救急科を中心とした診療科別研究会の開催、地域の医療資源に関する研究を行っている。
 「政策情報分析部門」では、主に県内医療機関のレセプトデータ、DPCデータ、病床機能報告データに加え、診療現場からのヒアリングによる生の声を活用した情報収集を行い、診療科別、2次医療圏別の精緻な現状調査・分析を実施している。
 今後の取り組みでは、数ある診療領域の中から、まずは「政策医療分野」として位置づけられる、小児科/新生児科・産科・救急科を優先する。具体的には、①各地域のニーズ、病院の機能、医師のキャリア形成の傾向を明確化するための精緻なデータの収集と分析および可視化②保健医療計画と大学医局による医師派遣の整合を目指した意見交換の場を通じ、問題点を抽出③働き方改革や情報通信技術(ICT)の進展を見据え、医療提供の効率化と新たな提供の在り方の検討④今後の医療提供について、医療を受ける側である地域住民に周知する方策と合意形成モデルの検討ーの4つの事項に取り組む。
 研究成果は、同センターのWEBサイトやSNS(WEBサイト:https://www.ho.chibau.ac.jp/NextGeneration/  Facebook:https://www.facebook.com/NEXTGENERATION19/
Twitter:https://www.twitter.com/n_generation19)などで発信していく。

医療政策公開セミナー


 また、2019年度は、次世代医療構想センターは千葉県医師会と共同で、千葉県内の自治体の職員、現場の臨床医などを対象とした医療政策の重要ポイントに関する全6回シリーズの「医療政策公開セミナー」を開催した。
 3月7日には、千葉の医療に関心を持つ人を対象に、「第1回千葉医療構想フォーラム」も開催する。

吉村氏


 次世代医療構想センター長の吉村健佑 特任教授は、「千葉県で起きている医師の地域偏在・診療科偏在などの問題は、日本全体の問題であり、医療従事者一人ひとりの働き方・生き方の問題、さらにはその地域に住んでいる人々の問題でもある」と強調。
 その上で、「これらを根本的に解決するため、当センターでは、大学病院、地域の医療機関、千葉県の3者を中心に研究活動を行い、安定した地域の医療提供体制の確立を目指して行く」と抱負を述べる。

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