カボザンチニブ 切除不能肝細胞癌で製造販売承認申請       武田薬品

 武田薬品は29日、キナーゼ阻害剤「カボザンチニブ」)について、がん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞癌に対する治療薬として、国内で製造販売承認を申請したと発表した。
 同申請は、海外P3相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験XL184-309試験と国内P2相試験Cabozantinib-2003 試験の結果に基づくもの。
 XL184-309試験は、主に、プラセボ群と比較して同剤の有効性が統計的に有意な結果を示し、かつ安全性プロファイルについても確認された二次治療以降の進行肝細胞癌患者を対象とした海外P3相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験。一方、Cabozantinib-2003 試験では、日本人における有効性および安全性が検討されている。
 わが国では、1990年代後半以降肝臓がんの罹患率は減少傾向にあるが、世界的には依然として罹患率が高い傾向にある。2014 年の国内の肝臓がんの罹患数は推定4万0666人と報告されており、肝臓がんの発生率は70代までは年齢とともに上昇する傾向がみられる。肝臓がんは男性に多く、男性における発生率は女性の2倍を超える。今回の申請対象である肝細胞癌は、肝臓で発生するがんの 90%を占めている。
 同社Oncology Therapeutic Area Unit HeadのChristopher Arendt氏は、「肝細胞癌は肝臓がんの中で最も多い疾患だが、治療薬として承認されている薬剤は限られており、治療満足度は高いとは言えず新たな治療オプションの提供が待ち望まれている」と指摘。その上で、「現在、製造販売承認申請中の腎細胞癌に続き、本薬を肝細胞癌で苦しむ日本の患者に届けられる日を心待ちにしている」とコメントしている。
 カボザンチニブは、エクセリクシ社が開発し、国内では、2017年1月、武田薬品と開発提携および独占的販売権に関する契約を締結。2019年4月には、切除不能又は転移を有する腎細胞癌に対する治療薬として製造販売承認申請を行っている。
 米国においては、進行性腎細胞癌の治療およびソラフェニブ治療後の肝細胞癌等の治療の適応症で、また、EU、その他の国および地域でも承認されている。

タイトルとURLをコピーしました