国内初の4G回線医療機関向け「日病モバイル」販売  日本病院協会ら3社

 日本病院会、日本病院共済会及びフロンティア・フィールドの3社は、1月下旬より4G回線を利用した医療機関向け専用スマートフォン「日病モバイル」の販売を開始する。同モバイルは、本年7月のPHS公衆網停波に伴う代替通信用として開発されたもの。3社は、病院内の携帯電話不感知対策サービス提供についても業務提携契約を締結している。
 本年7月のPHS公衆網停波に伴い、病院ではPHS端末から4G若しくは5G回線を活用したスマートフォン等への移行進展が想定される。同移行により、オンライン診療等をはじめ医療におけるICT化がますます推進するものとが考えられる。
 また、2014年の電波環境協議会において「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針」が取りまとめられ、当該指針に基づき施設内での携帯電話の利用を開始している医療機関もある。
 こうした中、3社はPHSの代替として、携帯電話回線を活用した「日病モバイル」を提供する。「日病モバイル」は、安定した通信品質の内線通話・外線通話、ログイン管理、チャット、ナースコール連携、エマージェンシーコール、モバイル端末管理(MDM)などの基本機能を標準搭載している。同モバイルの申込みは、日本病院共済会を窓口として、本年1月下旬より開始する。
 また、「不感知対策」については、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの四キャリアと共用アンテナ設備に関する協議を昨年11月より開始しており、準備が整い次第、順次案内を開始する。これにより、病院現場の真のニーズから生まれた今までにない病院内の新たなICTプラットフォームが構築される。
 今後、「日病モバイル」を導入した病院や、医療系ICT事業者・医療機器メーカー等とパートナー会を設立し、地域医療のプラットフォームとしての活用や、「日病モバイル」のプラットフォーム上で簡単にアプリケーションを実装できる環境構築の推進を目指す。「日病モバイル」の概要は次の通り。
  ◆基本機能
 〇内線通話・外線通話
・携帯電話回線により病院内のPBX(電話回線交換機)と連携し、これまでと同じ内線番号で通話できる。また、病院外からもPBXを中継し、内線及び外線通話ができる。
 〇ログイン管理
・利用者全員にIDを付与。1つの端末を複数人で共用できる。
・利用者がログインすると、自身の通話・チャット履歴が参照できる。
・利用者がログインすると、他の利用者のプレゼンス(注2)の確認ができる。
 〇チャット
・ネットワークがクローズド環境にあるチャットで、文字や写真の送受信ができる。
 〇ナースコール連携
・PBXを中継し、ナースコールと連携する。
・設定した端末のすべてが同時に鳴動する。(PHSでは1度に1端末しか鳴動しない)
・どの利用者がナースコールに応答したのか、ログが残る。
 〇エマージェンシーコール
・利用者が病室などで緊急事態に陥った際に、予め設定した別のスタッフに一斉にアラ-ト発信ができる。発信と同時に、録音機能により音声が録音され、インシデントの確認に活用できる。
 〇モバイル端末管理(MDM)
・アプリケーションのダウンロード制限、端末紛失時の端末ロック、端末の初期化によるデータ削除等ができる。
 ◆追加機能
〇スケジューラーパック
・利用者毎のスケジュールを入力・記録ができ、スケジュールの共有ができる。
・利用者への周知・連絡事項を掲示板に掲載できる。
・利用者が、出退勤の打刻ができる。
・医師または薬剤師等の利用者が、製薬企業等の社員と面会のスケジュール調整が可能。

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