京都府薬剤師会は、京都府に対して2020年度予算編成に関する要望書を提出した。予算要望は、◆「糖尿病重症化予防事業(継続)」、◆「地域連携薬局養成研修事業(新規)」、◆「薬剤師認知症対応力向上研修(継続)」、◆「後発医薬品安心使用促進事業(継続)・(重点)」、◆「地域連携薬局」・「専門医療機関連携薬局」整備推進事業(新規)、◆薬事衛生推進事業補助金(継続)-の6項目。
また、京都府警察本部にも、「薬局の駐車禁止除外指定条件の緩和」を要望した。
全国の糖尿病有病者は、1000万人と推計されており増加傾向にある。糖尿病予備軍も1000万人に上る。 日本人の5人に1人が糖尿病ないし糖尿病予備軍と言われている。
糖尿病は、初期から中期にかけて自覚症状がない場合が多い。だが、重症化すれば、糖尿病網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、下肢閉塞性動脈硬化症などの重篤な合併症を引き起こす。糖尿病のリスクを早く察知して発症を予防するには、無関心層に対する啓発や、特定検診も受診率の向上が重要となる。また、糖尿病有病者で、治療を受けていない人の割合は約1/4であり、適切な治療と生活習慣の継続による重症化の予防が不可欠となる。
京都府では、本年8月、「京都府版糖尿病性腎症重症化予防プログラム」が改定され、糖尿病性腎症重症化を予防する関係者の役割として、新たに地域における薬剤師会の役割が明文化(服薬指導等を通じた関係職種との連携など)された。
河上英治京都府薬剤師会会長は、「初期から中期の糖尿病患者は病識が薄いので、なぜ薬を継続服用しているのか、今の時期に血糖値をコントロールしなければならないかを理解してもらうための薬剤師の服薬指導の役割は非常に大きい」と力説する。
こうした背景を踏まえ展開されているのが「糖尿病重症化予防事業」(要望額140万円)である。無関心層に対する受診勧奨では、「啓発用デジタルサイネージ」によるさらなる啓発拡大を目指す。患者の服薬指導等の医療機関への情報提供については、元年度に2モデル地区で糖尿病患者の服薬情報等を医療機関へ適切に提供できるツール(トレーシングレポート)の仕組み作りを実施。当該トレーシングレポートの使用推進など多職種の連携強化を目的とした研修会の開催も企画している。
2年度は、モデル地区の拡大(5地域)や、多職種研修会を実施し、多職種間のさらなる連携強化を図る。
地域連携薬局養成研修事業(同230万円)では、中心静脈栄養や疼痛管理ポンプなどの在宅訪問時における医療機器等の取り扱い方法を中心とした関連研修会を実施し、「在宅応需薬局のより一層の拡大と、病院薬剤師や多職種との円滑な連携の推進を目指す」(河上氏)。
「薬剤師認知症対応力向上研修(同140万円)」について河上氏は、「認知症の疑いがある人に早期に気付き、かかりつけ医等と連携して対応するとともに、その後も認知症に応じた服薬指導を適切に展開する」と説明した。
「後発医薬品安心使用促進事業」(継続同50万円)・(重点同200万円)は、「薬局店頭や健康イベント等における啓発資材の配布」および「府民公開講座における啓発」が継続事業、「薬剤師向け研修会の開催」および「府薬務課との協働による重点事業の実施」が重点事業となる。
現在、後発品使用率は全国平均77.7%であるが、京都府は75.7%と低く、全国38位。河上氏は、「全薬局にアンケートして、なぜ、後発品使用が進まないのかを炙り出していく」と明言。
さらに、「国が掲げる2020年度9月までに後発品使用率80%以上の目標実現に向け、かかりつけ薬局・薬剤師の機能を生かしてより一層積極的に取り組んでいく」考えを強調した。
「地域連携薬局」・「専門医療機関連携薬局」整備推進事業(同350万円)については、「専門医療機関連携薬局は、門前薬局をイメージするが、地域の保険薬局でも不可欠である」と断言し、「門前以外でも専門医療機関連携薬局になれるような施策を考えている」と訴えかける。
薬事衛生推進事業補助金の要望額は460万円。