20代以上日本人女性の半数以上が尿漏れ経験 P&Gの尿漏れ実態大規模調査 

 P&Gジャパンの20代〜60代の日本女性4万人を対象とした「UI(尿もれ)」に関する大規模な実態調査で、「20代以上の2人に1人以上がUIを経験」、「年令だけでなく、どの世代も6割前後が経験」、「20代のUI経験者のうち、63.4%は出産経験なし」、「専用ケア製品の使用はわずか2割」などの現状が明らかになった。
 同調査は、本年7月に新・吸水ケアブランド「ウィスパー」の立ち上げに当たり、インターネット調査で行われたもの。
 UIに関する調査は、30代以上の女性、主にミドル~シニア層を対象とするケースが多いが、今回の調査では、日本女性のUIの現状をより深く理解するため対象を20代まで広げ、60代までの各世代、合計4万人の女性から回答を得た。
 一般的にUIは、「高齢者がなるもの」と思われがちだが、実は20代以上の2人に1人以上が、UIを経験し、どの世代でも6割前後の経験率があることが判明した。
 また、20代のUI経験者のうち、出産経験のない女性は63.4%を占めている。UIは、年代や妊娠・出産経験にかかわらず、あらゆる世代で起こりうる。


 特に、女性は体の仕組みから年代にかかわらず経験しうる現象であるが、これまでこの事実はあまりフォーカスされていなかった。
 UIは「加齢にひも付く現象」という理解が世の中に定着した背景には、国内の高齢化社会の進行にともなう、自宅での高齢者介護ニーズが挙げられる。
 同ニーズの高まりとともに、自宅での高齢者介護に関連する商品・サービスが相次いで登場し、その一環として1980年代後半以降、家庭用の大人向け吸水ケア製品(いわゆる、大人用おむつ)が発売された。同市場は今も拡大傾向を続けている。
 こうした社会背景や市場形成の経緯から、UIに関する部分的な事実や知識が、先に一般化、定着化し、介護としてではなくセルフケアとしてUI現象に向き合う人の中には、いわゆる‟一般知識”と“自分自身の経験”との間にギャップが生じ、その認識の差に不安感を持つ人も少なくない。
 同様に、妊娠・出産の経験のある女性の間では、「妊娠・出産をきっかけにUIが起こる」ことが知られている。最近では、産婦人科医や助産師から妊娠・出産によるUI現象について、健診過程で説明されたり、産後ケアの専門家やUIの専門医から産後のUIケアについてレクチャーが行なわれるなど、妊娠・出産の経験がある女性の間では、UIに関する情報が、徐々に広まりつつある。
 そこで、同調査では、UIと出産経験との関係性についても、集計・分析を実施した。その結果、UIを経験した2万5481人のうち70.4%が出産経験者であったが、出産経験がない人もUIを経験していることが明らかになった。
 また20代ではUI経験者のうち、出産経験のない女性が63.4%と6割を占めており、出産経験の有無が、必ずしもUI経験の過半数要因でないことも判明した。


 
個々に適したUI対策や治療がポイントに

 野村昌良氏(亀田総合病院 ウロギネセンター長)によると、尿もれにはさまざまなタイプと対策があり、骨盤底筋が弱まり“ぐらぐら尿道”になっている人には、その筋を鍛える「骨盤底筋体操」や、インナーマッスルを鍛える「体幹トレーニング」が効果を発揮する。
 “カチカチ膀胱”の人は、膀胱の筋肉を伸ばせるようになることが重要となる。従って、「膀胱トレーニング」といって、トイレに行きたい時に、5~10分を目安に少し我慢して膀胱の筋肉の伸びを促進するトレーニングを推奨したい。
 「トイレを我慢すると膀胱炎になる」と言われた経験のある人も多いと聞くが、実のところ、それは医学的には全くの間違いである。むしろ、「全然おしっこをしたくないのに、トイレに行く習慣」を極端に続けていると、尿の質量で膀胱の筋肉を伸び広げる機会が少ないので、かえって“頻尿”を引き起こしてしまう。
 “頻尿”は“尿もれ”を引き起こしやすいので、悪循環になりかねない。「トイレの我慢=膀胱炎」ではなく、トイレを我慢しすぎて、トイレに行く前にちょっと尿が出てしまい下着がぬれたままになることで細菌が発生し、その菌が膀胱に逆行して膀胱炎を引き起こす。重要なのは、デリケートゾーンを「清潔」かつ「快適」に保つことである。
 尿もれの緩和や予防には、トレーニングの継続が重要だが、一朝一夕で尿もれがなくなるわけではない。そこで、専用のパッドを使うことを薦めている。尿もれ専用のパッドは、デリケートゾーンを「清潔」「快適」に保つのに有効なほか、いつ「あれ!?」となるか分からない、「不安の解消」にも役立つ。
 咳もくしゃみもしないのに何度も尿もれする、根治したいといった人は専門外来への相談が望ましい。服薬や手術などの方法もある。
 尿もれによる「困窮度」や「困るシチュエーション」は人によって異なる。それは量や頻度と必ずしも連動するのでなく、性格やライフスタイル、生活習慣、社会的立場によるものだ。
 ポイントは、“その人にとってのベストな対策や治療”を見つけられる、選べるこで、尿もれは対策する、しないで、劇的に生活が変わる。
 対策や治療により、霧が晴れたように気持ちも生活も明るく軽やかになった人は少なくない。
 もし、尿もれで困っているのであれば、ぜひ一歩踏み出し、専用パッドを使ってもいいし、専門外来を訪ねるのも良い。“一歩踏み出す勇気”こそが、自分自身の世界はもちろん、自分の周りの世界をも変えることにつながる。

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