田辺三菱製薬は9日、ビエラ・バイオ社が視神経脊髄炎関連疾患(NMOSD)の治療薬として開発中であるイネビリズマブ(Inebilizumab、一般名)の導入に関してライセンス契約を締結したと発表した。
ビエラ・バイオ社は、米国メリーランド州ゲイザースバーグに本社を置き、炎症・自己免疫疾患を対象疾患とする医薬品の研究開発を手がけるバイオテクノロジー企業。
今回の契約に基づき、田辺三菱製薬は、ビエラ・バイオ社に対して、契約一時金として3000万ドル(約32億円)と開発の進捗に応じたマイルストンを支払う。また、製品上市後には販売額に応じたロイヤリティを支払う。
イネビリズマブは、抗体を産生する形質芽細胞や形質細胞を含むB細胞の表面に発現するCD19というタンパク質に高い親和性をもつヒト化抗CD19モノクローナル抗体製剤。
イネビリズマブがCD19に結合することで、これらの細胞を循環血液中から速やかに除去する。同剤は、ビエラ・バイオ社によって開発中であり、製造販売承認はまだ得られていない。
NMOSDは、致命的な中枢神経系の自己免疫稀少疾患で、身体の免疫システムが健康な細胞(一般的には視神経および脊髄)を攻撃し、重度の筋力低下、麻痺、失明、呼吸不全、腸や膀胱の機能低下、神経障害性疼痛など重篤な傷害をもたらす。現在、NMOSDに対する承認された治療薬はない。
田辺三菱製薬は、同契約締結により、日本、韓国、台湾、シンガポール、インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピン、ベトナムにおける同剤の独占的開発・販売権を取得する。