多職種との協働支援で在宅患者薬剤管理の実績増・地域連携薬局認定推進などを提言 日薬副会長選で木村隆次候補が決意表明

  日本薬剤師会の次期会長・副会長候補選挙の立候補届が17日に締め切られ、会長は山本信夫氏(開局、東京都、71歳)のみの立候補となった。
 定員5名の副会長には、川上純一氏(病院、静岡県、54歳)、森昌平氏(開局、栃木県、61歳)、安部好弘氏(開局、東京都、61歳、)田尻泰典氏(開局、福岡県、65歳)、宮﨑長一郎氏(開局、長崎県、62歳)の現職5名と、渡邊大記氏(開局、京都府、52歳)、木村隆次氏(開局、青森県、63歳)の新人2名の候補者が出揃った。
 会長信任投票および副会長選挙は、3月5日に開かれる日本薬剤師会臨時総会で実施される。また、コロナ禍において、当日出席できない代議員に対しては、22日に日薬から投票用紙が送付される運びになっている。

木村氏


 こうした中、木村隆次副会長候補から医薬通信社に決意表明が寄せられた。内容は、次の通り。

◆副会長候補者選挙の立候補にあたって

日本薬剤師会副会長候補者選挙候補者
木村 隆次

「いまやらねばならないこと」がある地域医療に貢献する会員薬剤師・会員が従事する薬局を支援するために
 この度、公益社団法人日本薬剤師会副会長候補者選挙の候補者として東北 5 県薬剤師会会長、日本薬剤師会東北ブロック代議員の皆様からご推薦いただき立候補しました青森県薬剤師会会長の木村隆次です。
 団塊の世代の皆様が 75 歳以上になる2025年目前、かかりつけ薬剤師が機能を発揮し、地域包括ケアシステムの中で地域医療に貢献する薬局づくりが急務です。

【調剤報酬の評価】 収入増
 そのためには、最優先に在宅業務の体制整備を進める必要があります。しかし、令和2年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(R3かかりつけ薬剤師調査)速報値で、○調剤基本料1を算定する薬局では、地域支援体制加算の届出が困難な理由として、「実績要件」、「24 時間調剤、在宅対応体制の整備」を挙げる割合が多かった。
 ○実績要件については、「在宅患者薬剤管理(12 回以上)」、「認定薬剤師の地域の多職種と連携する会
議への出席」、「かかりつけ薬剤師指導料等の届出」、「服薬情報等提供料(12 回以上)」を挙げる割合が多かったわけです。
 ○届け出が困難な理由を解決するために、在宅患者薬剤管理の実績を増やす。地域の多職種と連携する会議に出席しやすい環境づくりを市町村日常生活圏域(地域包括支援センター
管轄エリア)ごとに進める必要があります。
 具体的には、都道府県薬剤師会支部、地域薬剤師会で介護支援専門員(ケアマネジャー)、社会福祉士等の保健医療サービ及び福祉サービス、地域包括支援センターとの連携体制等を構築する必要があります。
 このことは「地域連携薬局」認定に必要な実績の後押しにもなるのです。というのは認定要件の一つに「地域包括ケアシステムの会議に継続的に参加」があります。この会議は、「地域ケア会議」、「サービス担当者会議」、「退院時カンファレンス」が該当します。
 さらに、認定要件として、「在宅医療への対応(月平均2回以上の対応実績など)」とあります。まさに訪問薬剤管理指導・居宅療養管理指導の実績ということです。
 また、薬局は、災害や新興感染症の発生時等に、医薬品の供給や地域の衛生管理に係る対応等を行う体制を確保するため都道府県等の行政機関、地域の医療機関若しくは薬局又は関係団体等と適切に連携することが求められています。このことへの薬剤師会としての支援も重要です。

【補助金・交付金】事業参加で地域一番のかかりつけ薬剤師に。調剤報酬外収入増。

 一例を挙げます。2024 年全市町村で施行される後期高齢者医療制度の高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施において介護保険制度介護予防・日常生活支援総合事業で運営支援している“つどいの場”に薬剤師が訪問し、参加者に薬に関する講話、参加者に対する個別指導をすることで謝金が支給され、さらには、参加者のかかりつけ薬剤師になる機会が得られます。
 令和元年度厚生労働省医薬・生活衛生局 「地域における薬剤師・薬局の機能強化及び調査検討事業」実施要綱に基づき青森県薬剤師会では、高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施のあり方と薬剤師・薬局の役割、機能強化及び連携体制構築のための「薬局薬剤師の地域サロンにおける利用者の服薬相談・支援事業」を行いました。
 報告書は、都道府県薬剤師会に配布してあります。また、青森県薬剤師会ホームページで閲覧できます。この報告書が青森県事業の市町村、関係各職能団体、県老人クラブ連合会と連携した「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」の推進事業に活用され「薬剤師・薬局・薬剤師会の活用」が進んでおります。私はこの県事業全体のコーディネーターを任されております。

【課題解決のため】 組織として動くことが重要。

○日常生活圏域内での多職種協働連携・都道府県、市町村等の行政機関との連携強化の処方箋を書きます。

○公益社団法人日本薬剤師会常務理事、一般社団法人日本介護支援専門員協会会長の経験を活かし全国組織の保健・医療・介護・福祉団体を通じて連携強化を進めます。

○様々な連携強化策、公的制度下での薬剤師活用を都道府県薬剤師会、及び都道府県薬剤師会支部、地域薬剤師会にしっかり伝達する仕組みを作ります。

以上、申し述べたとおり課題が山積しております。2024年には診療報酬・介護報酬同時改定があります。後悔しないために動きます。
 代議員皆さま方のご賛同をいただきたくまた、心強いご支援を賜りますよう伏してお願い申し上げます。
  令和 4 年 2 月吉日

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