AZD7442 新型コロナ感染症高リスク集団P2試験で高い有効性と長期予防効果確認  アストラゼネカ

 アストラゼネカは24日、AZD7442について、P3相PROVENT予防試験およびP3相TACKLE外来患者治療試験の新たなデータにより、長期間作用型抗体(LAAB)の筋肉内(IM)1 回投与による高い有効性が示されたと発表した。同社は、FDA により緊急使用許可が付与されれば、米国政府に対しAZD7442の70万回分の供給に合意している。
 進行中の PROVENT 試験の解析において、中央値 6 カ月の追跡期間で被験者を評価した結果、AZD7442の300mg IM1 回投与は、プラセボに比べ、症候性 COVID-19 の発症リスクを 83%低減した。
 世界の人口の約2%にあたる人々は COVID-19 ワクチンに対して十分に反応しないリスクの高い集団であると考えられている。これらの人々には化学療法治療を受けている血液がんまたはその他のがん、人工透析中、臓器移植後に薬物治療を受けている、あるいは多発性硬化症や関節リウマチを含む疾患の治療のため免疫抑制剤を使用中の患者などが含まれている。
 AZD7442のPROVENT試験は、症候性新型コロナ感染症の曝露前予防(COVID-19に感染しておらず、且つ感染者との濃厚接触のない集団)に対するモノクローナル抗体の有効性の評価を目的とした最初のP3相予防試験で、高リスクおよび免疫不全の被験者を対象としている。
 PROVENT試験の被験者の75%以上は、ベースライン時に、新型コロナ感染時の重症化リスクが高い合併症を有しており、免疫不全やワクチン接種に対する免疫反応が低下している集団が含まれている。
 主要解析あるいは 6 カ月時点での解析において、AZD7442治療群に新型コロナ感染症の重症例または新型コロナ感染症に関連した死亡例はなかった。
 プラセボ群では、6カ月時点の解析で重症 新型コロナ感染症患者が2例増え、合計5例の新型コロナ感染症重症例および2例の新型コロナ感染症関連死亡例があった。
 外来患者を治療対象とするTACKLE試験の探索的解析では、軽症から中等症の新型コロナ感染者において治療開始時に症状発現から3日以内の場合、AZD7442の600mg IM 1回投与により、新型コロナ感染症の重症化あるいは死亡のリスクが、プラセボと比較して88%減少した。
 TACKLE 試験に登録された被験者の合計90%が、新型コロナ感染症に感染した場合に重症化のリスクが高い集団であり、合併症を有する集団も含まれた。
 PROVENT試験およびTACKLE 試験の双方において、AZD7442 の忍容性は全般的に良好であった。PROVENT 試験の 6 カ月解析において新たな安全性の問題は特定されなかった。

◆AZD7442統括治験医師で英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン集中治療医学教授のHugh Montgomery氏のコメント
 これら説得力のある結果により、この長期間作用型抗体の併用療法は、重症化リスクの高い患者さんに、最終的に日常の生活に復帰するために緊急に必要とする長期にわたる保護を提供することを確信した。
 重要な点は、ワクチン接種への反応が不十分である可能性のある高リスク被験者においてデルタ変異株の増加にもかかわらず6カ月間の予防/治療効果が持続したことである。

◆Mene Pangalosアストラゼネカバイオファーマ研究開発担当エグゼクティブバイスプレジデントのコメント
 AZD7442 は、1 回の投与で新型コロナ感染前の予防および治療の双方におけるベネフィットをP3相試験データで実証した唯一の長期作用型抗体である。
 これらの新規データは、新型コロナ感染症の予防および治療に大きな変革をもたらすAZD7442の可能性を裏付ける一連のエビデンスを増強するものである。
 当社は、世界中で薬事承認申請を進めており、SARS-CoV-2に対する重要な新たな選択肢を可及的速やかに提供することを期待している。

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