エリスリトールが腋臭菌に働いてニオイを抑制する作用を発見  ロート製薬

 ロート製薬は28日、物産フードサイエンスとの共同研究で、エリスリトールが腋臭菌に働いてニオイを抑制する作用を有することを発見したと発表した。
 両社はこれまで、体臭悩みの根本解決への挑戦のひとつとして、腋のニオイ及び腋臭菌の研究を進めてきた。今回、糖アルコールにおける腋臭菌及びニオイへの影響を解明した結果、糖アルコールの一つであるエリスリトールが腋臭菌抑制効果を持ち、ニオイの抑制効果を持つことが明らかになった。
  同研究成果から、エリスリトールの配合により、菌バランスというこれまでにない新しい腋臭へのアプローチで、より効果が高くかつ安全性の高いデオドラント製品の開発が期待できる。
 これらの研究成果は Journal of Cosmetic Dermatology に掲載され、さらに日本味と匂い学会第 55 回大会(本年9月22日~24日、福岡市で開催)、IFSCC Mexico Conference 2021(本年10月18日~28日、Mexico で開催)で発表された。
 研究成果のポイントは、次の通り。
・ エリスリトールに腋臭菌を抑制する効果があることを発見。

 ・エリスリトールを腋に塗布することで、ニオイが抑制できた。

・ 腋のニオイが発生する要因として、菌バランスが関係していることが示唆され、エリスリトールには菌バランスを整える効果がある。

・ 殺菌・制汗だけではなく、菌バランスのコントロールによりニオイを抑制する新しいアプローチを含む、効果的にニオイ抑制できる制汗剤の開発に期待

 腋のニオイは、腋臭菌による代謝物が原因として知られており、制汗剤ではニオイを抑制するために様々な殺菌効果のある成分が使用されてきた。一方、糖アルコールは保湿剤としても使用されている成分ですが、古くから虫歯菌抑制効果が知られており、安全性の高さから食品等に広く使用されてきた。だが、糖アルコールにおける腋臭菌への効果はあまり知られていなかった。
 そこで、共同研究では、様々な糖アルコールにおいて腋臭菌に対する効果を調べ、さらに腋臭菌に対して効果のあったエリスリトールにおいて、実際に腋のニオイへの効果が検証された。
 各糖アルコールを培地に含有させ、腋臭菌に対する抑制効果の濃度依存性を調べ結果、複数の糖アルコールにおいて腋臭菌の抑制効果が確認され、濃度依存的にその効果が高くなっていく傾向が確認された。
 中でもエリスリトール(Erythritol)は、高い腋臭菌の抑制効果が確認され、その効果は虫歯菌に効果があることが広く知られているキシリトール(Xylitol)よりも高いことが判った。

図1 各糖アルコールにおける腋臭菌抑制効果の比較


 また、腋のニオイの強い被験者18名を選定し(16 歳から60歳までの日本人男女から選定)、入浴後に右腋にエリスリトールを含む試験液を、左腋に含まない試験液を塗布し、左右の腋のニオイの変化を臭気判定士により評価した。
 その結果、エリスリトールを塗布していない左腋では時間経過によってニオイが発生したのに対し、エリスリトールを塗布した右腋ではニオイの発生が抑制された。すなわち、エリスリトールには腋のニオイの抑制効果があることが示唆されました。

図2 エリスリトール塗布なし、ありにおけるニオイの強さスコアの比較


 さらに、被験者の腋の菌叢解析を行った結果、腋のニオイの強い人は、弱い人とは異なる菌バランス状態となっていることが示唆された。加えて、エリスリトールによる菌バランスの状態が改善が確認された。
 この結果は、腋のニオイ改善には、腋臭菌を殺菌するだけではなく、菌バランの改善が重要であることを示唆しており、エリスリトールは、菌バランスの改善によりニオイを抑制している可能性がある。
 同研究成果により、エリスリトールの腋臭菌への抑制効果、及び腋のニオイの抑制効果が確認できた。同時に、エリスリトールによって菌バランスの改善効果が確認されたため、エリスリトールの臭い抑制効果は菌バランスの改善効果によるものと考えられる。

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