武田薬品は22日、Mirum 社(本社:米国カルフォルニア州)とMirum社が有する希少肝疾患に対する治療薬である胆汁酸トランスポーター(ASBT)阻害薬Maralixibat chloride(一般名)について、日本における独占的開発・販売に関するライセンス契約を締結したと発表した。
同契約により、武田薬品は、日本におけるmaralixibatに関するアラジール症候群、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症および胆道閉鎖症に関する独占的開発・販売権のオプションを獲得する。
maralixibatは、吸収性が低く、複数の希少胆汁うっ滞性肝疾患に対する経口投与の新規治療薬で、小腸下部の回腸に局在する重要な胆汁酸輸送トランスポーター(ASBT)を阻害し作用を発揮する。
その結果、腸肝循環を介した胆汁酸の再利用を低下させ、便中に排泄される胆汁酸の量が増加する。これにより、全身の胆汁酸濃度が低下し、胆汁酸を介した肝障害や合併症を軽減できる可能性がある。
maralixibatの投与を受けた患者数は1600名を超えている。そのうち120名以上の小児がアラジール症候群および進行性家族性肝内胆汁うっ滞症の治療薬としてmaralixibatを投与されており、世界でアラジール症候群、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症および胆道閉鎖症について臨床試験が進められている。
同契約に基づき武田薬品は、maralixibatの日本における開発、製造販売承認の取得および販売の責任を担うと供に、胆汁うっ滞に関連した適応症における臨床試験を実施する。
なお、Mirum社は、アラジール症候群患者に伴う胆汁うっ滞性掻痒症状の治療薬として、maralixibatの製造販売承認申請をFDAに提出している。同申請は、現在、優先審査中であり、FDAの審査終了目標日は本年9月29日となっている。
また、Mirum社は、maralixibatについて、アラジール症候群に伴う胆汁うっ滞の治療を目的とした製造販売承認申請を欧州医薬品庁に提出している。
◆Mirum社CEOのChris Peetz氏のコメント
武田薬品は、希少疾患や消化器・肝臓疾患に対する新規治療薬の開発・販売に豊富な経験を有する世界有数のバイオ医薬品企業である。日本で希少肝疾患を患う患者さんへのmararixibat提供を加速させることができる理想的なパートナーである。
米国での販売開始に向けて、また、欧州でのアラジール症候群の申請を完了させるために、北米や欧州以外の地域でもトップ企業と提携し、これらの難病の患者さんにグローバルに貢献していく。
武田薬品がmaralixibatの開発に取り組み、患者さんがより良い人生を過ごすことが出来る可能性のあるこの治療法を推進するために協力してくれることを期待している。
◆廣田直美武田薬品日本開発センター所長のコメント 国内におけるアラジール症候群および進行性家族性肝内胆汁うっ滞症のような胆汁うっ滞に伴う疾患治療へのアンメット・メディカル・ニーズは高く、このような希少肝疾患に対する新規治療薬の開発は、当社のグローバル研究開発戦略における最優先課題である。 今回の契約締結により、患者さんの健康とQOL向上に貢献するために、革新的な医薬品の開発に取り組んでいくという当社のコミットメントを推進できる。