タグリッソ 欧州で早期肺がん患者の術後補助療法として承認取得  アストラゼネカ

 アストラゼネカは4日、タグリッソについて、欧州連合(EU)でEGFR遺伝子変異陽性の早期肺がんの術後補助療法として承認取得したと発表した。
 対象は、腫瘍完全切除後の早期ステージ(IB 期、II 期および IIIA 期)の上皮増殖因子受容体変異陽性(EGFRm)非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法。
 タグリッソは、エクソン 19 欠失型またはエクソン 21(L858R)点突然変異が確認された EGFRm NSCLC 患者の術後補助療法として適応となる。
 今回の欧州における承認は、タグリッソが主要評価項目であるII期およびIIIA 期のEGFRm NSCLC患者における無病生存期間(DFS)において統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示したP3相ADAURA試験のデータに基づくもの。 また、タグリッソは、同試験の重要な副次評価項目の1つである全症例におけるDFSにおいても統計学的に有意かつ臨床的に意義のある延長を示した。
 NSCLC患者のおよそ30%は、治癒切除可能な早期ステージと診断されるが、早期ステージと診断された患者においても術後再発率は依然として高いままである。
 これまでに、ステージIB 期と診断された患者の半数近く、ステージIIIA期では4 分の3 以上もの患者が5 年以内に再発を経験している。欧州には全世界の約5 分の1となる肺がん患者が存在し、そのうちNSCLC 患者のおよそ15%が腫瘍に EGFR 変異を有している。
 ADAURA 試験において、タグリッソによる術後補助療法は、ステージII期およびIIIA期の患者における主要評価項目であるDFS において、疾患の再発または死亡のリスクを83%低下させた(ハザード比 0.17;99.06%信頼区間[CI]0.11~0.26;p<0.001)。
 また、全症例(IB~IIIA 期)におけるDFSにおいては、タグリッソが再発または死亡のリスクを 80%低下させた(ハザード比 0.20;99.12%CI 0.14-0.30;p<0.001)。
 DFS については、術後補助化学療法による治療歴の有無に関係なく、事前に指定されたすべてのサブグループにわたって一貫した結果が確認された。
 また、同試験におけるタグリッソの安全性および忍容性は、転移を有する患者さんを対象としたこれまでの試験と一致していた。ADAURA試験の結果は、The New England Journal of Medicine 誌に掲載された。
 タグリッソは、早期肺がんの術後補助療法として米国および中国を含む50カ国以上の国で現在承認されており、その他の国々でも承認申請に向けた議論が進行中だ。
 同剤は、局所進行性または転移性 EGFRm NSCLC の一次治療、および局所進行性または転移性EGFR T790M変異陽性NSCLCの治療薬として、EU、米国、日本、中国など、世界中の多くの国々で承認されている。なお、EGFR遺伝子変異陽性 NSCLC の術後補助療法に対するタグリッソの適応は、本邦では未承認である。

 ◆サンタ・クレウ・イ・サン・パウ病院(スペイン)の腫瘍内科医のMargarita Majem氏のコメント
 早期ステージの肺がんは腫瘍の切除が可能ではあるが、残念ながら再発することがしばしばある。タグリッソによる術後補助療法は、EGFR 変異陽性の患者さんに対して無病生存期間の顕著な改善を示した。
 今回の承認により、できるだけ多くの患者さんがタグリッソのような分子標的薬の恩恵が受けられるよう、肺がんのすべてのステージにおいてEGFR変異検査の重要性が高まり、EU の臨床現場におけるプラクティスが変わっていくことを期待している。
 ◆アストラゼネカエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジービジネスユニット責任者のDave Fredrickson氏のコメント
 がんは、早期発見・早期治療によって治癒の可能性が高まるため、早期ステージにおける今回のタグリッソに対する承認は大変意義のあるものと言える。
 この承認により、欧州のEGFRmを有する早期肺がん患者さんは、バイオマーカーに基づく分子標的治療のオプションが初めて選択できるようになり、より長くがんのない状態で生きることができる。

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