小野薬品は4日、オプジーボと化学療法の併用療法およびオプジーボとヤーボイの併用療法について、切除不能な進行または転移性食道扁平上皮がんにおいて有意に全生存期間(OS)を改善したP3試験(CheckMate-648試験)のデータを発表した。
提携先のブリストル マイヤーズ スクイブが3日に公表したもの。
CheckMate -648試験では、オプジーボによる2種類の併用療法(オプジーボと化学療法の併用療法およびオプジーボとヤーボイ(一般名:イピリムマブ)の併用療法)が、化学療法と比較して、PD-L1発現率が1%以上の切除不能な進行または転移性食道扁平上皮がん(ESCC)患者および全無作為化患者集団であらかじめ計画された中間解析において、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある全生存期間のベネフィットを示した。
オプジーボとヤーボイの併用療法は、この設定において、化学療法と比較して良好な生存ベネフィットを示した初めての免疫療法薬の2剤併用療法である。データは、2021年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で、5日(米国東部夏時間)、口頭セッションで発表されるほか、公式プレスプログラムで取り上げられる。
オプジーボと化学療法の併用療法に関して、主要評価項目であるPD-L1陽性患者でのOSの中央値は、同併用療法群で15.4カ月、化学療法群では9.1カ月でした [ハザード比(HR)0.54、99.5%信頼区間(CI):0.37 – 0.80、p<0.0001]。
副次評価項目である全無作為化患者集団でのOSの中央値は、同併用療法群で13.2カ月、化学療法群で10.7カ月でした(HR 0.74、99.1% CI:0.58 – 0.96、p=0.0021)。
PD-L1陽性患者では、同併用療法群で統計学的に有意な無増悪生存期間(PFS)のベネフィットも認められ、盲検下独立中央評価委員会(BICR)の評価によるPFSの中央値は、同併用療法群で6.9カ月、化学療法群で4.4カ月でした(HR 0.65、98.5% CI:0.46 – 0.92、p=0.0023)。
オプジーボとヤーボイの併用療法に関して、主要評価項目であるPD-L1陽性患者でのOSの中央値は、同併用療法群で13.7カ月、化学療法群で9.1カ月であった(HR 0.64、98.6% CI:0.46 – 0.90、p=0.001)。
副次評価項目である全無作為化患者集団でのOSの中央値は、同併用療法群で12.8カ月、化学療法群で10.7カ月であった(HR 0.78、98.2% CI:0.62 – 0.98、p=0.011)。
オプジーボとヤーボイの併用療法は、もう一つの主要評価項目であるPD-L1陽性患者でのBICRの評価によるPFSを達成しなかった(同併用療法群4.0カ月 vs 化学療法群4.4カ月;HR 1.02、98.5% CI:0.73 – 1.43、p=0.8958)。
オプジーボと化学療法の併用療法およびオプジーボとヤーボイの併用療法の安全性プロファイルは、他のがん腫でこれまでに報告されたものと一貫していた。
グレード3~4の薬剤に関連する有害事象が、オプジーボと化学療法の併用療法群の47%、オプジーボとヤーボイの併用療法群の32%、化学療法群の36%で発現した。PD-L1発現率が1%以上の患者における安全性プロファイルは、全無作為化患者におけるデータと一貫していた。
PD-L1陽性患者でのBICRの評価による奏効期間(DOR)の中央値は、オプジーボと化学療法の併用療法群で8.4カ月、オプジーボとヤーボイの併用療法群で11.8カ月、化学療法群で5.7カ月であり、全無作為化患者集団では、オプジーボと化学療法の併用療法群で8.2カ月、オプジーボとヤーボイの併用療法群で11.1カ月、化学療法群で7.1カ月であった。
オプジーボと化学療法の併用療法は、奏効率(ORR)でも臨床的に意義のある改善を示した。PD-L1陽性患者でのBICRの評価によるORRは、オプジーボと化学療法の併用療法群で53%、オプジーボとヤーボイの併用療法群で35%、化学療法群で20%であり、全無作為化患者集団では、オプジーボと化学療法の併用療法群で47%、オプジーボとヤーボイの併用療法群で28%、化学療法群で27%であった。
CheckMate -648試験は、進行ESCCにおいて、免疫療法薬と化学療法の併用療法および免疫療法薬2剤による併用療法の両方を評価した初めてのグローバル第Ⅲ相試験である。
◆ロイヤル・マーズデンNHS財団トラスト腫瘍内科コンサルタントのIan Chau(M.D.)氏のコメント
化学療法による治療の場合、進行食道扁平上皮がん患者さんの生存期間の中央値は10カ月ほどであり、現在の標準治療を上回る治療選択肢が必要とされているのは明らかである。
ASCOで発表されたデータでは、ニボルマブによる2種類の併用療法が、両方とも化学療法と比較して生存期間で有意な改善を示し、新たな治療選択肢となる可能性が示された。
◆BMS消化器がん領域開発責任者のIan M. Waxman(M.D.)氏のコメント
これらのデータにより、後期ラインの転移性から早期ステージがんに至るまで、上部消化器がんにおけるオプジーボの臨床的ベネフィットを裏付けるエビデンスがさらに強化された。
オプジーボは、腫瘍の組織型および部位にかかわらず、複数の上部消化器がんのファーストライン治療において良好な有効性を示したことになる。