武田薬品は21日、難治性/抵抗性サイトメガロウイルス(CMV)感染治療薬maribavirについて、FDAが移植後CMV療法の新薬承認申請を優先審査指定として受理したと発表した。適応症は、固形臓器移植(SOT)または造血幹細胞移植(HCT)の両移植後の難治性/抵抗性(無しも含む)(R/R)サイトメガロウイルス(CMV)感染症。
今回の申請は、グローバルP3試験であるTAK-620-303(SOLSTICE)試験に基づくもの。この結果は移植・細胞治療学会議(TCT)2021デジタルエクスペリエンスで発表され、サブグループ解析の結果は第47回欧州骨髄移植学会(EBMT)年次総会のプレジデンシャルシンポジウムで発表された。
maribavirは、FDAから、臨床的に重篤なCMV血症およびCMV感染症リスクの高い患者の治療薬として希少疾病用医薬品指定を受けている。
FDAは、CMV感染およびCMV感染症を有し、既存の治療に抵抗性を有するまたは難治性の移植患者への治療薬として、maribavirのBreakthrough Therapy指定を行っている。同指定は、FDAが移植患者におけるCMV感染治療薬としてmaribavirを承認することを保証するものではなく、承認時期は未定だ。
今回のmaribavirのNDAの受理は、好酸球性食道炎治療薬TAK-721およびEGFRエクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がん治療薬mobocertinibのFDAへの申請、デング熱ワクチン(TAK-003)の欧州医薬品庁への申請に次いで、6ヵ月以内に規制当局による審査を受ける同社の4つめの新規候補物質となった。
今年度は、武田薬品にとってパイプラインの転換点となる1年であり、2021年度末までに最大6件の規制当局への申請完了と4件の承認取得の可能性がある。
◆武田薬品Vice President・Maribavir Global Program LeaderのObi Umeh氏のコメント
CMVは、移植後の患者に最も多く発現するウイルス感染の一つである。現在、治療の選択肢は限られているため、医師はウイルス消失と患者の治療や移植の結果に影響を及ぼしうる副作用の管理との間で慎重にバランスを取ることを余儀なくされている。
maribavirが承認された場合、移植後CMVの治療風景を一変させる可能性を秘めており、この規制当局の申請受理はmaribavirの未来の重要なマイルストンである。