医師向けの希少疾患早期診断をサポートサービス開始 武田薬品とエクスメディオ

 武田薬品とエクスメディオは13日、希少疾患の早期診断をサポートする医師向けサービス「希少疾患発見パッケージ」を開始し、最初の疾患として遺伝性血管性浮腫(HAE)をリリースしたと発表した。
 「希少疾患発見パッケージ」は、エクスメディオが提供する医療者向け臨床課題解決サービス「ヒポクラ×マイナビ」において、希少疾患の早期診断をサポートする医師向けサービスとして両社で共同開発したもの。
 希少疾患全体の患者数は世界全体で3億5000万人、疾患の種類は5000~8000 存在すると言われている。同じ疾患の患者であっても徴候や症状が異なっていたりする場合もあり、医療従事者が診断・治療に関する十分な経験や知識を積むことが難しく、正しい診断が下るまでに長い年月を要する場合もある。
 エクスメディオの「希少疾患発見パッケージ」は、自然言語解析により、希少疾患の疑いを確度高く発見する希少疾患向け「AI チェッカー」と、匿名で専門医に診断・治療のアドバイスを受けられる「コンサルト」の2つの機能で構成されており、希少疾患領域における早期診断をサポートする。
 希少疾患向け「AIチェッカー」は、AIや自然言語解析などエクスメディオの持つ技術やノウハウを生かし、当該希少疾患のガイドラインの診断基準や専門医の知見などをベースに、自然言語解析により、希少疾患の疑いを確度高く発見する機能だ。
 「コンサルト」は、非専門医が匿名で専門医に診断・治療のアドバイスを受けることのできる医師同士の遠隔相談機能で、エクスメディオでは2015年以降、皮膚科、眼科、心不全、呼吸器の4領域で実施しており豊富な実績を有する。
 「希少疾患発見パッケージ」は、さまざまな希少疾患に展開できる可能性がある。今回、この「希少疾患発見パッケージ」をエクスメディオと武田薬品の共同開発のもと、遺伝性血管性浮腫(HAE)で開始する。
 HAEは、腹部、顔面、足、性器、手、喉など、身体のさまざまな場所に繰り返し浮腫発作を引き起こす希少な遺伝性疾患である。
 喉に発生した場合は気道がふさがって呼吸困難を起こし、窒息死する危険もある。HAE は世界中で5万人にひとりが罹患していると推定されている。
 日本には、2000人から3000人の患者の存在が推定されているが、この疾患に対する認知度の低さから診断されている患者は約450名に留まっており、未診断の患者が多くいる。
 また、初めての発作が起きてから確定診断までに日本では平均13.8年かかると言われている。米国では、平均10年、欧州では平均 8.5年との報告がある。
 「ヒポクラ × マイナビ」では、医師が日々の臨床に関して課題や疑問を投稿している。そうした投稿に対し、「HAE チェッカー」を作動させ、当該希少疾患の可能性を見つけ出し、疑いのある投稿医師へ「HAE コンサルト」を受けることを促している。
 「テクノロジーの力で世界の健康寿命を5年延ばす」をミッションに掲げるエクスメディオでは、「希少疾患発見パッケージ」をHAEにとどまることなく、製薬企業などとの連携を通じてさまざまな希少疾患に拡大することで、今後も医師の臨床をサポートしていく予定だ。
 一方、武田薬品は、治療薬の創出にとどまらず、希少疾患を取り巻くエコシステムの形成・改善を通じて、患者とその家族に価値提供できる優れたパートナーとなることが重要であると考えており、他企業とのパートナーシップを用いて、さまざまな希少疾患の患者の健康に貢献していく。
 今回HAEで開始された「希少疾患発見パッケージ」は、このような両社の思いが一致し実現したもの。武田薬品が持つHAE領域に関する知見と、エクスメディオが持つ高い技術力やサービスとの協働による互いの強みを活かした取り組みであり、HAEの早期診断につながることが期待される。

【希少疾患コンサルト「HAE コンサルト」サービス概要】
名称:HAE コンサルト
対応OS:Android、iOS、web サイト(PC/スマートフォン)
利用料:無料
サービス開始日:2021 年 4 月 1 日
利用対象者:医師
URL:https://www.marketing.hpcr.jp/raredisease

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