参天製薬は13日、医師監修アプリ「かゆみダス~目のかゆみ注意報~」を本格リリースしたと発表した。同アプリは、花粉症シーズンにあわせて予測される気象状況からかゆみなど目の症状の注意レベルとその対策、薬の使用時間をプッシュ通知で知らせするなどの機能を実装する。監修医は、社団慶翔会両国眼科クリニック理事長の 深川和己氏 。
以前よりメールサービスとして展開していた「かゆみダス」のアプリ化により、プッシュ通知という形でより最適なタイミングでの患者へのフォローを強化するとともに、患者に寄り添って”プロアクティブ点眼”の実行をサポートすることで、かゆみの少ない目を作り、患者の QOL 向上を目指す。
日本気象協会(以下日本気象協会)の発表(2020 年12月9日時点)によると、2021年のスギ・ヒノキの花粉飛散量は例年よりは下回るものの、2020年の1.8 倍と予想されている。
東京都健康安全研究センターの調べでは、花粉症患者数が2人に1人と増加傾向にあり、多くの人が花粉症で悩まされている中、我慢できない目のかゆみを1回でも感じるとQOLに影響したことが報告されている。
かゆみの少ない目を作るため、参天では、かゆくなってから「かゆみ止め」として抗アレルギー点眼薬を点眼するのではなく、発症期間中は症状があってもなくても用法(回数・タイミング)を守って点眼を続ける”プロアクティブ点眼”を推奨している。
「かゆみダス~目のかゆみ注意報~」アプリでは、メールサービスでも実施していた日本気象協会とJMDCが開発した「目のかゆみ注意報」と対策を5段階で知らせる機能を、プッシュ通知で対応。さらに、“プロアクティブ点眼”の概念のもと、点眼や受診の忘れを防止するリマインド機能や、症状の推移を記録できる日記・レポート機能を新たに実装した。
「かゆみダス~目のかゆみ注意報~」の概要は、◆月額料金(税込):無料◆アクセス方法:アプリ:App Store、Google Play で『かゆみダス』で検索(対応 OS:iOS10.0以上、Android6.0 以上)。詳細は、https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/library/allergic_conjunctivitis/kayumidas/で。
同アプリの主な機能は、次の通り。
① 地域ごとの気象状況による「目のかゆみ注意報」の通知
花粉症の症状には、その日の花粉の飛散量だけではなく、天気や気温など気象状況も影響する。地域ごとの予測される気象状況から、かゆみなど目の症状の注意レベルを5 段階で知らせる。
・配信期間:1月から、地域ごとの春の花粉症対策シーズン終了まで
・サービス提供エリア:日本全国(沖縄県を除く) ※複数地点登録可能
・夏から冬には、登録地域の抗原カレンダーや翌シーズンの花粉飛散予測を表示する。自身の目のかゆみの原因の推定や、花粉症対策の準備に役立てられる。
② 症状の推移を記録できる日記・レポート機能
日々の体調を簡単に記録し、自動的に集計する。
レポート画面の表示により、医師・薬剤師とも内容を共有できる。
③点眼や受診の忘れを防止するリマインド機能
使用する薬を登録すれば、点眼薬の使用時間や開封後の使用期限を通知する。さらに、通院予定の登録・通知が可能。その他、さまざまな目のかゆみ対策について配信。登録地域の花粉飛散時期に合わせ、初期療法を行う適切なタイミングを知らせる。
目のかゆみの原因やかゆみが起こるしくみなどの情報も発信。大切な目のために、早めの対策が望まれる。
同アプリを監修する深川和己氏のコメント:
花粉飛散量の気象条件による増減は以前から知られているが、最近の研究から、アレルギー疾患は気象パターンの変化によって分布や重症度が変化する可能性や、気温や湿度がアレルギー性結膜炎外来患者数に影響したこと(海外データ)が報告されている。
実際、低湿度などの環境変化が鼻粘膜上皮バリア機能を低下させたとの報告もあり、気温や湿度などの気象状況は、花粉飛散量の大小という観点に限らず、アレルギー性結膜炎などの症状に影響を及ぼすと考えられる。
「かゆみダス」は、地域ごとの予測される気象状況から、かゆみなど眼症状の注意レベルとそれに応じた対策について通知するサービス。患者が、抗アレルギー点眼薬の使用やセルフケアなどの花粉症対策を、忘れずに実施する上で役立つことが期待される。
メールサービスのユーザーを対象に実施したアンケート調査によると、93%の人がサービスの使用評価を「非常に良いと思う」、「良いと思う」と回答している。
2021年、「かゆみダス」はスマートフォン用のアプリケーションとして機能を拡張した。利便性のさらなる向上によって、患者に寄り添って忘れがちな点眼行動の行動変容が可能となる。アレルギー性結膜炎の患者に紹介するサービスの一つとしての検討が期待される。
プロアクティブ点眼とは、かゆい時に「かゆみ止め」として抗アレルギー点眼薬を点眼するのではなく、発症期間中は症状があ ってもなくても用法(回数・タイミング)を守って点眼を続けることで、かゆみの発生頻度を少なくするための点眼治療を意味する。