2020年度上期はポートフォリオの底力を実証 武田薬品クリストフ・ウェバー社長

 武田薬品のクリストフ・ウェバー社長・CEOは、2020年度中間決算カンファレンスコールで、「新しいタケダは、より強力により安定性を持ってスタートしている」と断言。その上で、「ファイナンス面も、営業利益率・キャッシュフローをみても、より強力になっている。地理的にも、欧米、日本、イマージングマーケットと非常にバランスが取れた展開をしている」と訴求した。
 パイプラインについても、「当社のR&Dはベストインクラスで、特に稀少疾患分野は将来にコミットしている。パイプライン第1ウェーブ、第2ウェーブには、非常に有用な薬剤が揃っている」と明言。「タケダの戦略はR&D主導型で、シャイアーの買収はそれを加速するものであった」と強調した。
 2020年度上期の業績については、「通期のマネジメント・ガイダンスを維持し、フリー・キャッシュ・フロー、財務ベース営業利益、財務ベースEPSを上方修正した。ポートフォリオの底力を実証できた」と高く評価した。
 2020年度上期の主なハイライトには、「R&D進捗では今後12ヵ月間に7品目の第1ウェーブ新規候補物質(NMEs)の申請可能性」、「2020年度下期に成長加速を想定し、通期マネジメントガイダンスを維持」、「フリー・キャッシュ・フローガイダンス、財務ベース営業利益およびEPS予想を上方修正」などがある。また、120億米ドルを超える流動性による安定した財務力で、業界トップクラスの利益率、力強いキャッシュ・フローを達成する見通しにある。
 その中で、パイプライン第1ウェーブのTAK721(ナルコレプシー)、パイプライン第2ウェーブのTAK981は、「いずれも10億ドル規模の製品としての成長が期待される」パイプライン第1ウェーブのTAK003(デング熱ワクチン)も「市場が大きい」
 一方、ノン・コア事業等の売却では、目標額を超えて2019年1月以降、総額110億米ドル超の売却を公表し、継続的かつ迅速に負債を減額してきた。ウェバー氏は「売却は、負債を減らすだけでなく、戦略的にも実施してきた。その理由は、ノン・コア事業は売却しないと競争力が落ちるからである」と説明。さらに、「30%半ばの利益率、2021-23年度に純有利子負債/調整後EBITDA52倍に向けて順調に進捗している」と力説した。
 新型コロナウイルスに対する多面的なアプローチにも言及し、具体的な施策として、「ワクチンの供給」、「高度免疫グロブリンの開発」、「既存治療薬のリポジショニング」を挙げた。
 ワクチン供給は、ノババックス社、モデルナ社、日本政府と提携して進めている。高度免疫グロブリンは、The Fight Is In Us」キャンペーンを通じ回復期血漿収集を促進しており、十分な血漿量を保有している。
 既存治療薬のリポジショニングには、「シナジル」、「タクザイロ」があり、いずれも新型コロナ感染者に有用である。
 

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