222nm紫外線の皮膚への安全性と殺菌効果を立証、新型コロナ感染対策にも期待  神戸大学とウシオ電機

(左)今回の実験に使用された「SafeZoneUVC device」
         (中)今年9月販売開始予定の「Care222」ユニットタイ(右)Care222使用イメージ

 神戸大学大学院医学研究科外科系講座 整形外科学 黒田良祐教授の研究グループとウシオ電機は、共同で研究を進めていた222nm紫外線直接照射による人体皮膚への安全性および殺菌効果の両立を立証したと発表した。従来、多剤耐性の殺菌においては、UVC紫外線のうち主に254nmが用いられてきたが、人体に直接照射すると10mJ/cm2程度で皮膚の急性傷害の指標である「皮膚が赤くなる日焼け反応(紅斑)」が現れるため、人体への直接照射は難しいとされてきた。
 だが、今回照射したウシオ製222nm照射装置(Care222)による222nmの場合、500mJ/cm2という高い照射量でも皮膚に急性障害が発生しないことが臨床試験で確認され、新型コロナウイルス感染リスク低減やクラスター対策にも期待される。今後、有人環境下での殺菌・ウイルス不活化の実現による、新しい生活様式下でのウイルスや細菌への感染リスク低減、クラスター対策、パンデミック防止といった、「安心・安全」な社会環境の実現への貢献を目指す。
 共同研究では、ウシオの222nm紫外線殺菌・ウイルス不活化ユニットSafeZoneUVC deviceを用いて500mJ/㎝2の222nm紫外線を20人の正常皮膚に直接照射し、急性障害である紅斑の発生なく常在菌を殺菌。これにより、222nm紫外線の人体皮膚への安全性と殺菌効果の両立が立証された。これらの検証に関する論文は、米国科学雑誌「PLOS ONE」に12日(現地時間)付けで掲載された。
 なお、これまでのマウスを対象とした検証では、222nm紫外線の繰り返し照射による皮膚細胞のダメージテストおよび発がん試験にて安全性を確認し、角膜炎、白内障といった目に対する影響もないことが確認されている。
 今後、ウシオは引き続き神戸大学と医療分野における紫外線活用の研究をさらに進め、将来的には外科手術中の術野消毒や殺菌を目的とした医療機器の開発を目指す。 
 また、今回の人体皮膚への安全性立証により、ウシオが進めている病院や学校、商業施設や交通機関などにおける有人環境下での、222nm紫外線を用いた紫外線殺菌・不活化がさらに現実的になる。
 ウシオは、今回使用された222nm紫外線照射装置(開発名:SafeZone UVC device)をベースに開発を進めている「Care222TM」のユニットタイプの国内販売を9月から開始し、さらに今秋からは国内外の照明器具メーカーや衛生設備メーカーなどに対し光源モジュールの提供を開始する予定である。
 

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