アストラゼネカは6日、タグリッソが、治癒目的の腫瘍完全切除後の早期ステージ(ⅠB期、Ⅱ期およびⅢA期)上皮増殖因子受容体変異陽性(EGFRm)非小細胞肺がん(NSCLC)患者の術後補助療法として、米国で画期的治療薬指定(BTD)を取得したと発表した。
FDAによるBTDは、重篤な疾患の治療や、重大なアンメット・メディカル・ニーズに応えられる可能性のある新薬に対して、その開発と薬事承認審査を迅速化するために指定される。新薬には、臨床的に意義ある評価項目において、既存の医薬品を大幅に上回る改善を示す有望な初期臨床データが求められる。
NSCLC患者のおよそ30%は、治癒を目的とした切除手術が可能な初期ステージに診断されますが、このステージは再発が多く、ステージⅠB期では診断された患者の半数近く、ステージⅢA期では4分の3以上の患者さんが5年以内に再発する。
初期のEGFRm肺がん患者は、切除手術と術後補助療法に化学療法を受けても再発する症例が多く、現在のところ、アウトカムを改善できる承認された標的治療薬はない。第Ⅲ相ADAURA試験において、これらの症例に対して、タグリッソは非常に高い臨床的有効性を示した。
FDAによる今回のBTDは、米国臨床腫瘍学会(ASCO)バーチャルサイエンティフィックプログラムのプレナリーセッションで発表 ( https://www.astrazeneca.co.jp/content/az-jp/media/press-releases1/2020/2020060401.html ) された第Ⅲ相ADAURA試験のデータに基づいている。
同試験においてタグリッソは、ステージⅠB期~ⅢA期のEGFRm NSCLC患者さんに対する術後補助療法として、統計学的に有意で臨床的に意義のある無病生存期間(DFS)の延長を示し、副次評価項目においても、再発または死亡リスクを79%低下させた(ハザード比:0.21;95%信頼区間0.16-0.28;p値<0.0001)。
これらの結果を受け、独立データモニタリング委員会は、タグリッソが顕著な有効性を示したとして、本年4月に本試験の非盲検化を予定より2年早めることを勧告した。
タグリッソは、局所進行性または転移性EGFRm NSCLCの一次治療薬、および局所進行性または転移性EGFR T790M変異陽性進行NSCLCの治療薬として、米国、日本、中国、欧州、その他多くの国において承認されている。
なお、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんの術後補助療法に対するタグリッソの適応は、本邦では未承認である。