サノフィは、全国の免疫性血小板減少症(ITP)と診断されたことがある患者および比較対象として鉄欠乏性貧血と診断されたことがある患者を対象に実施した意識調査結果を発表した。
同調査は、ITP患者における、倦怠感や疲れやすさなどQOLに関わる不調への認識について理解を深めることを目的としたもの。 調査の結果、日常生活で感じる不調と自身の疾患の関係をめぐる認識に両群で違いがみられ、ITP患者の約8割が疲れやすさや倦怠感などの日常生活の不調を経験していることが分かった。
一方で、それらの不調とITPとの関連を認識していた人は約3人に1人に留まった。また、不調を感じていても医療従事者への相談に至っていない実態も明らかとなり、QOLに関わる症状が見過ごされる可能性が示唆された。
調査の概要及び調査結果のポイントは、次の通り。
【調査概要】
◆実査期間:2026年7月14日~7月24日
◆調査地域:全国 サンプル数:ITP患者41名、鉄欠乏性貧血患者330名 調査対象:ITPまたは鉄欠乏性貧血と医師から診断されたことがある人
◆調査種別:定量調査
◆調査手法:定量Web
◆アンケート調査機関:メディリード
【調査結果のポイント】
① ITP患者の約8割が日常生活の不調を経験
ITP患者の約8割が過去6カ月の日常生活の中で「なんとなくつらい」と感じることがあると回答した。
不調を感じているITP患者の66.7%は、その不調が自身の病気と「関係していると思う/少し関係していると思う」と回答した一方、「ITPが倦怠感や疲れやすさ、気分の落ち込みなどに影響することがある」と以前から知っていた割合は33.3%(約3人に1人)にとどまった。
② 鉄欠乏性貧血患者の半数以上は病気と不調の関連を認識
一方、鉄欠乏性貧血患者では53.5%が、病気がこうした不調に影響することを「聞いたことがある・知っていた」と回答し、ITP患者を約20ポイント上回った。
③ 不調とITPとの関連認識にギャップ
調査の結果、ITP患者では日常生活の中で不調を実感している人が多くみられる一方、それらの不調と病気との関連は十分に認識されていない可能性が示唆された。患者の不調の実感と疾患理解との間にギャップが存在することがうかがえる。
④ 不調とITPとの関連を認識している患者では、医療従事者へ相談意向が高い傾向
不調がITPと関係していると認識しているITP患者では「医師に相談する必要がある」と回答した割合が86.4%と高い傾向がみられた(参考値)。
患者がITPと不調との関係について理解を深めることが、医師へ相談するきっかけの一つとなる可能性が示唆された。
ITPは、免疫応答や全身性の炎症を引き起こす自然免疫ならびに獲得免疫が関わる複合的な免疫調節異常 を伴う疾患で、血小板破壊の亢進および血小板産生の障害に伴う血小板数の減少 (10万/μL未満)を特徴とする。ITPは、皮下出血から脳内出血などの生命を脅かす可能性がある出血まで様々な部位で出血リスクがあるほか、倦怠感、不安やうつ症状、認知機能の低下など、QOLに影響を及ぼすことが報告されている。

◆加藤恒氏(大阪大学医学部附属病院 輸血・細胞療法部)のコメント
今回の調査で特に見えたのは、ITP患者さんが日常生活の中でさまざまな不調を感じている一方で、ITPが倦怠感や疲れやすさなどに影響することがあると知っていた人が3人に1人にとどまった点である。
ITPでは、出血症状や血小板数の管理が診療上非常に重要だ。一方、患者さんの視点に立つと、倦怠感や疲れやすさをはじめ、検査値だけでは把握しにくい困りごとがQOLに影響している可能性がある。
今回、鉄欠乏性貧血患者さんとの比較によって、ITPではこうした不調と疾患との関係についての認知が相対的に低いことが示された点は着目すべきポイントである。
また、調査では、ITP患者さんの約7割がこうした不調を医師に相談する必要があると考えているにも関わらず、4割を超える患者さんが「話そうとしたが、うまく伝えられなかった/話せなかった」・「話そうと思ったことがない」と回答した。
患者さんと医療従事者で、こうした不調を共有する余地があることを示す結果だと考える。患者さんが自身の状態やITPについて理解を深め、不調に気づいた際にはそれを診察の場で伝える。医療従事者側も、患者さんの不調や課題感を認識して、ともに改善に向けて考える。こうしたコミュニケーションや環境づくりが、ITP患者さん一人ひとりのQOLも見据えたより良い治療につながると考える。


