第一三共と「毒性試験報告書から毒性学的解釈を自動抽出する予測モデル」構築 FRONTEO

 FRONTEOは14日、第一三共との共同研究において、方程式駆動型AI「KIBIT(キビット)」を用いて、「SENDデータ」と「毒性試験報告書」から「毒性学的解釈に関連する記述を自動抽出する予測モデル」を構築し、その有効性を確認したと発表した。
同成果は、2026年7月1~3日に開催された「第53回日本毒性学会学術年会」で、両社の研究チームが「自然言語処理を活用した毒性試験報告書テキスト解析の可能性」をテーマに研究成果を発表した。
 同件は、FRONTEOと第一三共が2024年11月より推進しているFRONTEOのAI創薬支援サービス「Drug Discovery AI Factory(DDAIF)」の技術を応用した毒性試験データベースおよび毒性試験報告書の解析・活用に向けた取り組みの一環である。
 過去の毒性試験で得られた知見を将来の研究開発や安全性評価に生かすため、両社は毒性試験データの収集・管理システムの開発を目指してモデル構築と技術検証を実施してした。昨年の第52回学術年会では、SENDデータと毒性試験報告書のテキストをデータベースに格納し、同一基盤上で参照可能にする基盤システムについて報告した。
 今回はその次の段階として、データベースに蓄積された「数値データ」と報告書に記述された「毒性学的解釈」をAIでひもづける技術の実現可能性を検証した。
 申請対応試験の英文報告書だけでなく、記載形式が多様な探索毒性試験の日本語報告書においてもほぼ同等の精度で関連記述を抽出できることが確認され、言語や文書形式を問わない汎用性が示された。
 医薬品の研究開発では、候補化合物の安全性を確認するために毒性試験が実施される。試験で得られる血液検査値などの数値データや病理所見などのテキストデータはSENDフォーマットでデータベースに蓄積される一方、「この所見は薬物投与に起因する」「この変化は毒性学的に意義がない」といった専門家の毒性学的解釈は、試験報告書のテキストとして別途記録されている。
 蓄積されたデータの二次利用を効率的に進めるには、この「数値データ」「テキストデータ」と「専門家の解釈」を自動的に結びつけることが不可欠であるが、報告書は記載形式が多様であり、両者のひもづけは容易ではなかった。
 同研究では、FRONTEOが「KIBIT」を用い、第一三共が保有する毒性試験データベースと毒性試験報告書を対象に、「SENDデータに報告書中の毒性学的解釈を自動的にひもづけるために、報告書から毒性学的解釈に関連する記述を抽出する予測モデル」を構築した。
 その結果、テキストの構造が定型的かつ記述が詳細な「申請対応試験の英文報告書」と、テキスト構造が多様で記述が簡潔な「探索毒性試験の日本語報告書」の双方において、良好な予測モデルを構築でき、比較的高い精度で関連記述を抽出することが確認された。
 製薬企業は長年にわたり膨大な毒性試験データを蓄積しているが、その多くは個別の試験報告として保管されており、組織横断的な知見の再活用は十分に進んでいない。同研究で構築した予測モデルにより、過去の毒性データと専門家の解釈を体系的に整理・検索可能にすることで、新規化合物の安全性予測や毒性試験設計の最適化など、創薬プロセスの複数の段階での活用が期待される。
 現在、過去の毒性試験データを将来の研究開発や安全性評価に活用することを目的として、第一三共において毒性試験データベースおよび報告書活用基盤の整備が進められている。この基盤の上で本研究の成果を実装すべく、両社は蓄積された知見の有効活用に向けたシステム開発を検討していく。

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