大塚製薬は15日、100%子会社の大塚アメリカInc.による米国トランセンド社の買収が完了し、同社が完全子会社になったと発表した。同買収は、精神・神経領域におけるグローバルリーダーとしてのポートフォリオ拡充のさらなる加速を目的としたもの。
本年3月に締結した合意内容に基づき、大塚製薬はトランセンド社の全発行済み株式の取得対価として、同社株主に対し総額7億ドル(約1121億円)支払った。今後、条件付対価として、開発品の売上高に応じて最大5億2500万ドル(約840億円)を追加で支払う可能性がある。
トランセンド社は2021年に設立された精神・神経疾患に対する迅速作用型治療薬の開発を進めるバイオテクノロジー企業だ。同社が開発する「TSND-201」は、メチロン(methylone)を有効成分とする迅速作用型のニューロプラストゲン(脳内ニューロンの神経可塑性を誘導する化合物)で、PTSDなどを対象とした治療薬候補として開発が進められている。
米国では心的外傷後ストレス障害(PTSD)の年間有病者数が1300万人以上に上ると推計されている一方で、過去約25年間にわたり新たな治療薬は承認されておらず、大きなアンメットニーズが依然として存在している。
TSND-201は、PTSDを有する成人を対象としたP2試験「IMPACT-1」において良好な成績を示し、その結果は2026年2月に「JAMA Psychiatry」に掲載された。現在、同剤の安全性および有効性を評価する1本目のP3試験「EMPOWER-1」が米国で実施されており、試験完了は2027年末を予定している。
TSND-201は2025年7月に米国FDAよりブレークスルーセラピー指定を取得している。さらに、本年4月には、トランセンド社は同剤に関して、FDAが交付するCommissioner’s National Priority Voucher(国家優先バウチャー)を受領した。国家優先バウチャーは、FDAの厳格な科学的および規制基準を維持しつつ、米国の重要な国家的健康優先事項に合致する製品の承認を迅速化することを目的としている。
大塚製薬は、トランセンド社を当社グループに迎えることで、精神・神経領域におけるグローバルリーダーとしてポートフォリオの拡充を一層加速する。長年にわたり培ってきた同社の強みとトランセンド社の革新的アプローチを融合し、規制当局と緊密に連携しながら、PTSDを含む次世代治療薬の開発を着実に進め、新たな治療選択肢を患者に提供する。

