公募増資と過去最高益達成で再建フェーズから成長フェーズに移行 住友ファーマ木村徹社長

 住友ファーマの木村徹社長は13日、2025年度決算説明会で会見し、「2023年度の厳しい業績を受けて一時10%台にまで低下した自己資本比率が、本年4月に実施した公募増資と2025年度の過去最高益達成により45%程度に上昇し、財政は非常に健全な状況に戻ってきた」と報告。その上で、「再建フェーズから成長フェーズに移行する」と断言し、2025年度440億円であった研究開発費を2026年度510億円を含めて3年間で1800億円に拡大する計画を明らかにした。
 木村氏は、同日に厚労省が決定したiPS細胞由来パーキンソン病治療薬「アムシェプリ」の薬価(患者1人あたり5530万6737円)にも言及。「現状のコスト構造からすると明らかに赤字でもう少し高い薬価を求めていたが、目標値が決まればそれで利益が出せるように仕上げていくのが我々の仕事」と言い切った。
 住友ファーマの2025年度業績(コアベース)は、売上収益4533億円(対前年比13.7%増)、コア営業利益1059億円(145.4%増)、営業利益1073億円(272.6%増)、当期利益1069億円(352.2%増)となった。
 売上収益は、オルゴビクス(進行性前立腺がん治療剤)、ジェムテサ(過活動膀胱治療剤)の大幅伸⻑、販売マイルストン等により大幅増収となった。基幹製品の売上収益は、オルゴビクス1550億円(対前年比86.6%増)、ジェムテサ960億円(46.0%増)、マイフェンブリー(子宮筋腫・子宮内膜症治療剤)144億円(12.6%増)。オルゴビクスの販売マイルストン(売上5億ドル達成)は約157億円。
 2026年度は、抜本的構造改革による業績のV字回復達成を受けて、オルゴビクス・ジェムテサのさらなる売上成⻑と、次世代成⻑エンジンとなるエンゾメニブ(急性骨髄性白血病、P2)、ヌビセルチブ(骨髄線維症P1/2)のがん2品目を最優先とした開発に尽力。「⼒強い住友ファーマ」へ向け、Boost(加速)させる成長フェーズへと移行する。
 この成長フェーズを後押しするのが、健全な財務基盤だ。同社は、2023年度の厳しい業績を受けて自己資本比率は一時10%台にまで低下。借入金も親会社である住友化学の債務保証が必要となり、資本性のあるマネーでの償還が求められる劣後債も1200億円発行した。
 木村氏は「2024年度、2025年度の業績V字回復達成と、本年4月に実施した公募増資により、リファイナンスによる債務保証解除と劣後債のリプレイスを実施し、2つの課題を解消した。自己資本比率も45%程度に上昇した」と説明する。さらに、「1000億円近いキャッシュがあり、大幅な財務基盤強化ができた」と訴求する。
 2026年度の業績予想は、売上収益5400億円(19.1%増)、コア営業利益910億円(14.1%減)、営業利益900億円(16.2%減)、当期利益770億円(27.9%減)。
 減益は、2025年度に計上されたアジア事業譲渡利益(490億円)によるもので、「これを除くと実質上増益となる」(木村氏)。
 基幹製品のオルゴビクスは、泌尿器科でのさらなる成⻑とオンコロジー専門医へのアプローチ強化による市場シェアの拡大を目指す。2026年度売上予想は2099億円(対前年比35.4%増)。
 ジェムテサは、臨床的差別化の訴求およびメディケアでのカバレッジ改善を通じて市場シェア拡大に引き続き注⼒する。2026年度売上予想は1063億円(10.7%増)。
 注目されるiPS細胞由来パーキンソン病治療薬「アムシェプリ」は13日、厚労省の中央社会保険医療協議会が、患者1人あたり5530万6737円として薬価を決定した。
 5月20日に薬価収載される。効能・効果は、レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法で十分な効果が得られないパーキンソン病患者の運動症状の改善。
 アムシェプリが販売可能となるのは本年秋終盤で、同剤のP4試験は7施設を予定しており、本年中に1例目の治験実施を目指す。
 木村氏は、「やっとここまで来た。薬価をつけてもらえたのは非常にありがたい。これまで条件及び期限付承認後に本承認された例は無いので、P4で有効性・安全性をきっちりと示し、本承認へと結び付けたい」と明言。
 その上で、「現状のコスト構造からすれば明らかに赤字でもう少し高い薬価を求めていた。だが、目標値が決まれば、さらなる機械化の推進やロット管理をより小さくする等の工夫により、利益を出せるように仕上げていきたい」と言い切った。
 今後のアムシェプリ移植スケジュールは、2026から2029年までは、P4試験として18歳以上65歳以下(30例)、30例の移植完了後に65歳超(5例)の合計35例の移植を最優先に進めていく。
 P4試験患者登録が完了した2029年以降は、施設・対象患者を順次拡⼤して、さらに65症例程度の移植を実施する予定だ。
  

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