創業以来初の当期利益2000億円突破 売上収益も2030年8000億円に向け順調に進捗 塩野義製薬手代木会長兼社長CEO

  塩野義製薬の手代木功会長兼社長CEOは12日、2025年度決算説明会で会見し、「国内では買収した鳥居薬品(7カ月分計上、+405億円)やクービビック(不眠症治療薬)の売上増、欧米はセフィドロコル(グラム陰性菌感染症治療薬)の好調などが寄与して、創業以来初めて当期利益が2000億円を突破した」と強調した。2025年度は、売上収益および全ての利益項目で創業以来の過去最高業績を更新した。
 業績予想にも言及し、「売上収益は2030年8000億円に向けて順調に推移している。2026年度は、売上収益・営業利益は5期連続、当期利益は3期連続で過去最高を更新する予定にある」との見通しを示した。
 今後の重要戦略である海外事業拡大の一翼を担う米国の5年後の業績については、「セフィデロコルはこれまで通り毎年15~20%伸長していくだろう」と予測。エンシトレビル(国内商品名:ゾコーバ、コロナ治療薬)や、田辺ファーマから獲得したエダラボン(ALS治療薬)は、「27年以降に公表する中期経営計画でより明確なストーリーを示したい」と述べた。さらなるM&Aでは、「現在のバランスシートを見る限り、それなりの事業投資ができる。いくつか手掛けているものがある」とした上で、「我々の将来においてプラスになるものに対しては、積極的に取り組んでいく」考えを示した。

株主還元は増配に加えて自己株式取得も視野に

 塩野義製薬の2025年度業績は、売上収益4997億円(対前年比14.0%増)、営業利益1667億円(6.5%増)、税引前利益2389億円(19.0%増)、当期利益2052億円(20.4%増)となった。なお、国内の一般用医薬品の売上高は150億円で、風邪関連の薬剤を含めたマーケットのシュリンクが起因して6年ぶりの減収(10.5%減)を示した。
 期末配当は、前回の配当予想から1株当たり5円増配し38円、年間配当は14期増配となる71円を予定している。2026年度も15期連続の増配(年間配当76円)を見込んでいる。さらに、手代木氏は、「キャッシュフローが相当強含みになって来るので、場合によっては自己株式取得を含めたトータルな株主還元のさらなる充実を視野に入れている」と語った。
 2026年度業績は、売上収益7000億円(対前年比40.1%増)、営業利益2200億円(32.0%増)、税引前利益2200億円(7.9%減)、当期利益2100億円(2.4%増)を見込んでいる。
 国内では、鳥居薬品、ラジカットの売上収益を年間で計上、クービビックやザズベイ(抗うつ薬)の売上拡大、海外では、米国でのラジカヴァの販売開始、欧米でのセフィデロコルのさらなる成長、HIVフランチャイズのさらなる伸長、旧JT医薬品事業ロイヤリティの年間計上などが増収・増益要因となっている。
 また、米国でのエンシトレビルの新型コロナ感染予防に関する審査は順調に進捗しており、「上市に向けての積極的な投資を行っている」(手代木氏)。26年度は、一般用医薬品も188億円と対前年比25.0%増の大幅増収となる見込みだ。
 2026年度の研究開発費は1550億円(対前年比26.2%)を見込んでいる。M&Aによって旧JT医薬品事業および鳥居薬品が有する開発品目の獲得でパイプラインが拡充したため、「実施中の臨床試験を継続した上で、優先順位付けに基づく注力パイプラインの見直しを予定している」(手代木氏)
 米国での5年後の業績に言及した手代木氏は、ラジカヴァについて、「4月1日付けで操業を開始した米国事業会社には、田辺ファーマから140名移籍した」と報告。その上で、「現在の売上高は900~1050億円で、この数字をスタートポイントにどこまで拡大できるか今年1年かけて見極めたい」と述べた。
 エンシトレビルは、「ヒト、カネ、モノを掛けて、米国で新型コロナ感染症の治療の必要性、予防の重要性を啓発する。順調に進捗すれば、300~450億円に達すると予測されるが、こちらも今年1年かけて見極める必要がある」と明言。セフィデロコルは「これまで通り毎年15~20%伸長していくだろう」と予測し、「27年以降に公表する中期経営計画でより明確なストーリーを示したい」と語った。

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