小野薬品は29日、短時間作用型β1選択的遮断剤「オノアクト」(一般名:ランジオロール塩酸塩)について、「敗血症に伴う頻脈性不整脈(心房細動、心房粗動、洞性頻脈)」に対する効能追加を国内で取得したと発表した。
今回の承認は、国内で実施した敗血症に伴う頻脈性不整脈患者を対象とした後期P2/P3多施設共同非盲検無作為化並行群間比較試験(J-Land 3S試験:ONO-1101-32)結果に基づくもの。同試験において、主要評価項目である登録24時間後における心拍数を60~94 回/分に調節できた被験者割合は、オノアクト群で 54.7%(75 例中 41 例)、既存治療群 33.3%(75 例中 25 例)であり、オノアクト群で有意に高い割合を示した。
安全性に関しては、同試験で認められた安全性プロファイルは、既承認の効能又は効果の試験で認められているものと一貫していた。同試験の結果に関しては、The LANCET Respiratory Medicine (https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S2213260020300370?via%3Dihub)に掲載されている。
敗血症は、感染症によって重篤な臓器障害が引き起こされる状態と定義され、過剰な交感神経の亢進がその臓器障害を促進する。同病態では、全身状態の悪化による交感神経の亢進や炎症性サイトカインの上昇が原因で、頻脈性不整脈となることがある。
オノアクトは、小野薬品が創製・開発した短時間作用型β1選択的遮断剤であり、主に心臓に多く存在するβ1 受容体を選択的に遮断し、過剰な交感神経の亢進を抑制して、敗血症に伴う頻脈性不整脈の治療に貢献できるものと期待されている。
同社は、2002年9月に「手術時の頻脈性不整脈(心房細動、心房粗動、洞性頻脈)に対する緊急処置」の効能又は効果でオノアクトを発売した。その後、2006 年10 月に「手術後の循環動態監視下における頻脈性不整脈(心房細動、心房粗動、洞性頻脈)に対する緊急処置」、2013年11月に「心機能低下例における頻脈性不整脈(心房細動、心房粗動)」、および 2019 年 3 月に「生命に危険のある不整脈(心室細動、血行動態不安定な心室頻拍)で難治性かつ緊急を要する場合」の効能又は効果の追加承認を取得している。