武田薬品は29日、ノバルティス社が欧州におけるlifitegrast 点眼剤「Xiidra」の販売許可申請を取り下げに伴う業績への影響として、2021年3月期第1四半期において、約2億米ドルの営業利益に対する損失影響が発生する見込みにあると発表した。親会社の所有者に帰属する当期利益に対する損失影響は、約1億5000万米ドルを予想している。
これら影響額については四半期決算手続きを経て確定するため、実際の計上額は増減する可能性がある。最終的な計上額は、確定した後に公表する。
Xiidraは、炎症に対する作用を有し、ドライアイの兆候・症状の治療薬としてFDAに承認された最初で唯一の薬剤。同剤は、2019年1月の武田薬品によるシャイアー社買収により獲得した製品の一つであったが、2019年7月にノバルティス社への譲渡を完了し、これにより武田薬品は34億米ドルの一時金を現金で受領した。
また、当該一時金に加えて、一定の販売実績に基づくマイルストンを含め、最大で合計19億米ドルのマイルストンを契約締結後に受領する可能性がある。 2020年3月末現在の連結財政状態計算書において、武田薬品は、これらマイルストンに係る条件付対価の公正価値に基づき金融資産として約8億5000米ドルを計上している。
武田薬品は、当該金融資産を本年6月末の公正価値に再測定する。同社は、今回のノバルティス社による欧州におけるXiidraの販売許可申請の取り下げは、最大で合計19億米ドルのマイルストンを受領する可能性があることは変わらないものの、特定の販売実績に基づくマイルストン受領の見込みは低下したものと考えている。
再測定の結果、武田薬品は、2021年3月期第1四半期において、約2億米ドルの営業利益に対する損失影響の発生を見込み、親会社の所有者に帰属する当期利益に対する損失影響は約1億5000万米ドルを予想している。
なお、ノバルティス社による販売許可申請の取り下げに伴う同社の損失は、ノン・コア事業等の売却に関連することから、財務ベースの利益に影響するものの、Coreベースの営業利益や当期利益には影響しない。
また、キャッシュ・フローや調整後EBITDAに対する重大なマイナス影響もない。2021年3月期の通期の業績予想については、同件の影響額を引き続き精査し、その他の要素も考慮の上、適時に見直していく。 さらに、同社は引き続き100億米ドルのノン・コア資産の売却を推進していくため、このコミットメントに対する同件の影響はない。