グラクソ・スミスクライン(GSK)は22日、エキシデンサー(デペモキマブ)について、気管支喘息および鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の2つの適応を日本で承認取得したと発表した。
対象は、気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない重症又は難治の患者に限る)と 鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)。
デペモキマブの日本での承認は、英国医薬品医療製品規制庁(MHRA)および米国FDAによる承認に続いて、3 カ国目となる。さらに、欧州では欧州医薬品委員会(CHMP)より肯定的意見を受けており、現在、中国を含む国々でも承認申請が審査中である。
日本における今回の承認は、P3試験(SWIFT試験およびANCHOR試験)結果に基づくもの。
これらの試験において、26週間に1回のデペモキマブの投与により標準治療と併用したプラセボ群との比較で、有効性および安全性を評価・検討した。
SWIFT-1およびSWIFT-2試験において、デペモキマブの投与は臨床的に重要な喘息増悪の年間発現率を有意に減少させた。さらに、ANCHOR-1 およびANCHOR-2試験では、主要評価項目である鼻茸スコアおよび鼻閉症状スコアにおいて、有意な改善が示された。
重症喘息患者の中には、頻回の増悪や病勢進行に直面し、入院が必要となる場合もあり、その結果、医療費負担の増大の一因になっている。また、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎患者は、症状がQOL低下につながる場合もある。
デペモキマブは26週間に1 回の投与で、IL-5 の受容体結合を阻害する新しい治療薬。IL-5 は、気管支喘息および鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎等の病態において重要な役割を担う主要なサイトカインである。同薬剤により患者の治療結果の改善が期待される。
SWIFT-1 およびSWIFT-2 試験のいずれにおいても、主要評価項目である52 週間における臨床的に重要な喘息増(喘息発作)の年間発現率は、プラセボ群と比べデペモキマブ群で統計学的に有意な差が認められ、SWIFT-1試験では58%の低下(率比0.42、95%信頼区間0.30–0.59、p<0.001)、SWIFT-2 試験では48%の低下(率比0.52、95%信頼区間0.36–0.73、p<0.001)を示した(各試験の年間喘息増悪発現率(デペモキマブ群 vs プラセボ群):SWIFT-1 試験 0.56vsプラセボ群1.08、SWIFT-2試験 0.46 vs 1.11)。
ANCHOR-1およびANCHOR-2試験において、それぞれの試験の主要評価項目である投与後52 週時の鼻茸スコア、および投与後49 週から52 週時までの鼻閉言語式評価スケール(verbal response scale:VRS)症状スコアのベースラインからの変化量において、デペモキマブ群はプラセボ群に比べ統計学的に有意な改善を示した。
・52 週時点の鼻茸スコア(Nasal polyp score:NPS、0~8)(ANCHOR-1 試験:治療群間差[95%CI]:-0.7[-1.1, -0.3]、p<0.001、ANCHOR-2 試験:治療群間差[95%CI]:-0.6[-1.0, -0.2]、p=0.004)
・49~52 週の平均鼻閉VRS 症状スコア(0~3)(ANCHOR-1 試験:治療群間差[95% CI]:-0.23[-0.46,-0.00]、p = 0.047、ANCHOR-2 試験:治療群間差[95% CI]:-0.25[-0.46, -0.03]、p = 0.025)
すべての有害事象はSWIFT-1 および2 試験においてデペモキマブ群で73%および72%、プラセボ群で73%および78%、ANCHOR-1 および2 試験においてデペモキマブ群で74%および76%、プラセボ群で79%および80%に
認められた。
◆ポール・リレットGSK代表取締役社長のコメント
重症喘息や、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎は、依然として患者さんの日常生活に大きな負担をもたらす疾患である。多くの患者さんで長期の治療が必要とされ、頻回の投与や通院は治療継続における課題のひとつであった。
今回の製造販売承認により、投与回数が減ることで、日本の患者さんの治療や日常生活での負担軽減に寄与できることを期待している。

