アステラス製薬は18日、「まほろ」によるロボット式細胞培養自動化システムが、米国FDAの生物製剤評価研究センター(CBER)から先進製造技術(AMT)指定を取得したと発表した。
「まほろ」は、安川電機の子会社であるロボティック・バイオロジー・インスティテュートが開発したヒト型汎用ロボットである。
FDAはAMT指定プログラムを通じて、製造・供給の信頼性、製品の品質、そして医薬品開発のスピードを向上させる先進的な製造技術の早期導入を奨励している。今回の指定は、日本の企業として初めて取得したAMT指定で、細胞医療製品の製造上の課題に対応するためにロボティクスおよび人工知能(AI)を融合させた「まほろ」の先進性を高く評価するもの。
アステラス製薬と安川電機の合弁会社であるセラファ・バイオサイエンスが、この技術を活用した細胞医療の実用化を主導する。
細胞医療は細胞の機能の回復や代替を目的としており、疾患の治療に新たな可能性をもたらす。だが、細胞の取り扱いには多くの手作業が必要で、一貫した品質と同等性を確保することが難しく、製造には大きな課題がある。
ヒト型汎用ロボット「まほろ」を活用したシステムでは、開発初期から自動化を行い、AIによる製造プロセスの最適化を組み合わせることにより、細胞医療製品の製造において高い再現性と精度を実現する。
なお、同件によるアステラス製薬の通期(2026年3月期)連結業績予想への影響はない。
◆Rao V. Mantriアステラス製薬製薬技術担当CMfgO(Chief Manufacturing Officer)のコメント
生きている複雑な細胞を取り扱う細胞医療においては、「製造プロセスそのものが製品である」とも言われる。今回の指定は細胞医療製品の製造に関する当社のケイパビリティの大幅な向上を示しており、革新的な治療法を患者さんに届ける私たちの取り組みをさらに強化するものである。
私たちは『まほろ』を通じて細胞医療の基盤を構築し、細胞医療の品質や開発スピードに関する新たな業界標準を確立していく。
◆山口秀人セラファ・バイオサイエンス代表取締役社長CEOのコメント
セラファ・バイオサイエンスは細胞医療の製造プラットフォームを構築し、プロセス開発からGMP製造までを手掛ける。AMT指定により、この最先端技術がより広く活用され、各種細胞医療プログラムの開発加速につながることを期待している。
アカデミアやスタートアップ企業などと連携し、信頼できる製造法を高い効率で開発することで、細胞医療の実現に取り組む。

