MSDは、米国成人におけるCAPVAXIVE(21価肺炎球菌結合型ワクチン)に含まれる肺炎球菌血清型の疫学と薬剤耐性(AMR)に関する研究の系統的文献レビューの結果を発表した。
2015年から2025年までに公表された15試験を検討し、CAPVAXIVEに含まれていてPCV20(20価肺炎球菌結合型ワクチン)には含まれていない血清型(CAPVAXIVE固有の血清型:9N、15A、15C、16F、17F、20A、23A、23B、24F、31、35B)に関連する肺炎球菌感染症の血清型特異的な疾病負担を、PCV20に含まれていてCAPVAXIVEには含まれていない血清型(PCV20固有の血清型:1、4、5、6B、9V、14、18C、19F、23F)と比較して評価した。同結果は、ジョージア州アトランタで開催された米国感染症学会(IDWeek 2025)で発表された。
同解析には、米国において全文掲載された15件の論文と、米国疾病予防管理センター(CDC)のActive Bacterial Core(ABC)サーベイランスからの報告書が含まれる。15件のうち、13件が有病率、5件が発生率、2件が死亡率、2件がAMR、1件がHRU(health resource utilization、医療資源の利用)および肺炎球菌感染症の合併症に関するものであった。
この系統的文献レビューの結果、米国成人においてCAPVAXIVE固有の血清型はPCV20固有の血清型より高い頻度で検出されることが示された。2件の論文によると、CAPVAXIVE固有の血清型に起因する肺炎球菌感染症は、非侵襲性肺炎球菌感染症の治療において処方頻度の高い抗菌薬に対する耐性率がより高くなっている。同試験のシステマティックレビューの結果は次の通り。
・2023年時点のABCのデータによると、高齢者(65歳以上)におけるCAPVAXIVE固有の血清型による侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)の有病率(34.8%)はPCV20固有の血清型によるもの(8.5%)の3倍以上であった。50~64歳における有病率は、CAPVAXIVE固有の血清型では最大30%、PCV20固有の血清型では最大15%であった。
・2009~2017年に入院した成人(18歳以上)において、CAPVAXIVE®固有の血清型の7種類、PCV20固有の血清型の1種類でAMRが報告された。
・AMRが報告された研究において入院した成人(18歳以上)のうち、ペニシリンとエリスロマイシンに対する耐性率は、血清型35B(96%、89%)および23A(72%、46%)で特に高いことが分かった。多剤耐性率は血清型19F(42%)と23A(27%)で最も高い結果となった。血清型19FはPCV20に含まれ、血清型35Bおよび23AはCAPVAXIVEに含まれている。
◆米国におけるCAPVAXIVEの適応
・18歳以上の者における、肺炎球菌血清型3、6A、7F、8、9N、10A、11A、12F、15A、15B、15C、16F、17F、19A、20A、22F、23A、23B、24F、31、33F、35Bに起因する侵襲性肺炎球菌感染症の予防を目的とした能動免疫
・18歳以上の者における、肺炎球菌血清型3、6A、7F、8、9N、10A、11A、12F、15A、15C、16F、17F、19A、20A、22F、23A、23B、24F、31、33F、35Bに起因する肺炎の予防を目的とした能動免疫
◆ポーラ・アヌンジアートMSD研究開発本部グローバル臨床開発部門感染症・ワクチン領域シニアバイスプレジデント(博士)のコメント
肺炎球菌感染症の負担に対応するためには、肺炎球菌血清型の有病率と薬剤耐性を理解することが重要である。CAPVAXIVEは成人向けにデザインされており、2018~2022年の全米CDCデータに基づく米国成人における侵襲性肺炎球菌感染症の大半の原因となる血清型をカバーしている。

