「女性が知っておきたいセルフケア」テーマに、婦人科がん早期発見・治療啓発イベント開催 ルナルナとストラゼネカ

写真左から、アストラゼネカ 北川洋氏、村上、大島氏

 ルナルナとアストラゼネカのpresentsトークショー「私のからだ、私の未来 ~女性が知っておきたいセルフケア~」が6日、オンラインイベントとして開催された。
 同イベントは、婦人科腫瘍学・女性医学の専門医である大島乃里子氏(東京科学大学病院 周産・女性診療科 講師)とプロフィギュアスケーターの村上佳菜子によるトークを通じて、婦人科がんの早期発見・早期治療開始の啓発を目的としたもの。
 ルナルナは、生理日管理をはじめ、初潮前後の心身のサポートから、妊活・妊娠・出産・更年期、ピル服薬や医療機関の受診支援まで、すべての女性の一生に寄り添うウィメンズヘルスケアサービスを業務としている。
 同イベントでは、普段は後回しにしがちな“自分の体と心”について向き合うことの大切さを多くの女性に気づい貰うきっかけとなるトークが展開された。

大島氏

 第1部では、まず、大島氏が女性特有の体の悩みとして、生理痛や月経前症候群(PMS)等、月経に関連する不調が起こる仕組みを解説した。
 月経中には、子宮を収縮させるプロスタグランジンという物質が分泌され、これが下腹部痛、いわゆる“生理痛”の大きな原因となる。また、月経前に起こる PMS は“月経前のホルモンバランスの変動”により引き起こされる心身の不調で、情緒不安定、イライラ、落ち込みといった気分面の変化や、頭痛、乳房の張り、むくみ、腹部の不快感等、身体的な症状がある。
 このほか、経血量が極端に多い、強い腹痛や腰痛が続く、貧血のような症状がある場合は、子宮筋腫や子宮内膜症といった婦人科疾患が背景にある可能性もある。
 大島氏は「何か不調がある場合、“毎月この時期はそうなんだよね”と思わずに、一度婦人科を受診してほしい」ち強調。さらに、「受診して早くに病気をみつけることができれば、早く対処法がわかったり、治療につながる可能性がある。自分の体の変化は見逃さずに受診することが重要である」と呼びかけた。
 村上は「私は現役時代から生理不順がひどかったが、スケートに集中するあまり放置していた。引退してからようやく自分の体と向き合う時間ができ、婦人科できちんと検査をしてもらい、必要な治療を受けることができた」と自らの経験を紹介。
 その上で、「今は定期的に受診しており、体の不調は、ちゃんと向き合えば対処できる方法があると知った」とコメントした。
 また、 ル ナ ルナ が、10~40代の女性1000人を対象に2024年10月に実施した「FEMCATION 白書 2024」の調査結果も一部紹介された。生理に関する症状や悩み、不安について、「ある」と回答した人は全体の約7割おり、具体的な症状や悩みでは、最多が「生理中の不調(頭痛、下腹部痛、吐き気、疲労感等)」71.6%、次に「生理前の不調(PMS /月経前症候群)」69.1%だった等の結果が示された。
 第2部では、3 大婦人科がんである、卵巣がん・子宮体がん・子宮頸がんがどういった疾患か、また、早期発見のために注意すべきポイントについてのトークを展開。まずは女性によくある7つの不調について、どんな病気のリスクが考えられるのかを大島氏が解説した。
 大島氏は、婦人科系疾患セルフチェックリストとして次の7項目を列挙した。
•不正出血がある(月経以外の出血、閉経後の出血等)

•月経異常がある(量の異常、周期の乱れ等)

•おなかの張りや違和感が続く

•下腹部の痛みが続いている

•排尿時の違和感(痛みや血尿等)がある •腰痛が続いている

•腰痛が続いている

•足のむくみが気になる

 大婦人科がんは、子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がんを指す。子宮頸がんは公的な予防対策として行われている検診があり、子宮頸部の細胞診を受けることで、がんになる前の“前がん病変”で診断できる場合も多くある。
 また、子宮頸がんの発生と関連が深いヒトパピローマウイルス(HPV)のうち、一部の型についてはHPV感染を予防するワクチンが接種可能となっている。子宮体がんについては、“不正出血”が重要なサインのため、これを見逃さず、受診して精密検査を行うことが重要だ。
 卵巣がんは腹部の奥にできるため、進行するまで自覚症状が出にくく、おなかの張りや違和感等、ちょっとした変化がサインになる場合がある。
 また、アストラゼネカが 20~60 代のがんに罹患したことのない一般女性 1000 名(医療従事者を除く)を対象に2025年1月に実施した「乳がん・婦人科がんに関する意識調査」の結果も一部紹介された。
 25%程度の人が不正出血の経験があったが、不正出血の経験があった時、医療機関を受診した人の割合は64%で、不正出血があっても医療機関を受診しなかった理由は「様子を見たが、その後症状がなくなった」の60%が最多で、次いで「受診が必要だと感じなかった」の 30%だった等の結果が示された。  
 大島氏は、「このリストにある項目は、続くとか、悪化している症状があるかどうかが重要である」と明言。
 さらに、「特に若い人では、不正出血があったからといってがん等の大きな疾患に必ずしも関係しているわけではないが、がんにより引き起こされている場合もあるので見逃さないことが大事である」と強調し、「不正出血があった場合は必ず、それ以外の症状も続く場合にはきちんと婦人科を受診して、“なにもない”か否かを確認するようにしてほしい」と訴求した。

村上


 第2部では、ゲストの村上が、自ら経験した多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)について語った。村上は「引退後には毎年検査を受けるようになったが、婦人科検診に行って初めて、私は PCOS であることがわかった」と話し、「実は母もこの病気で、もしかしたら私もそうかもしれないという話をしていたので、診断を受けた時はそんなに驚かなかった」と振り返った。
 その上で、「現役時代は体のことは二の次であったが、今は自分と向き合うことが大事だと思っている。同世代の友達とも家族とも、恥ずかしがらずに女性特有の不調についても話している」と明かした。
 PCOSは、女性ホルモンのバランスが乱れることによって、排卵がうまく起こらなくなる疾患で、月経不順や無月経、不妊の原因になるケースもある。発症頻度は5~8%程度であるが、子宮内膜が定期的に剥がれ落ちず、厚い状態が続くことで“子宮体がん”のリスクが高まることが知られている。PCOSの人はそうでない人と比べて子宮体がんの発症リスクが2~3 倍になるという報告がある。
 子宮体がんは通常、50~60 代が発症のピーク年齢と言われているが、PCOSで月経不順や無月経を放置していると、それより若い世代でも子宮体がんにかかるリスクは高まる。そのため、PCOSと診断された際には長期的な影響を診るためにも定期的に検査を受け、不正出血や過多月経があった場合には、速やかに婦人科を受診することが重要である。
 大島氏は、「PCOSの人に限らず、月経が来ないことを含め、“なんとなく不調”を見逃さず、自分の体と心の傾向を知ること、“気づく”ことがセルフケアの第一歩」と強調。
 さらに、「アプリなどを活用して、月経周期や気分の変化を記録することで、自分のリズムを把握することも、自分の体とうまくつきあっていく鍵になる」と訴えかけた。

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