セマグルチド 日本人の心血管アウトカム試験解析で全体集団と同様の有用性確認 ノボ ノルディスク ファーマ

 ノボ ノルディスク ファーマは24日、19~21日の3日間高知県で開催された第73回日本心臓病学会学術集会 (JCC 2025) で発表されたSELECT試験における初の日本人サブグループ解析結果を公表した。同解析結果は、全体集団と同様のセマグルチドの有用性が確認されたもの。
 SELECT試験は、心血管疾患 (CVD) の既往を有し、糖尿病の既往歴のない45歳以上の過体重または肥の成人1万7604名を対象とした国際共同の心血管アウトカム試験である。
 同試験の主要評価項目は、MACE (心血管死、非致死性心筋梗塞または非致死性脳卒中) の最初の発現までの時間で定義される複合アウトカムで、セマグルチド2.4mgがプラセボと比較してMACEのリスクを 20% 低減させたことがすでに報告されている。
 セマグルチド2.4mgが示したMACEの減少には、主要評価項目の3つの要素すべてが寄与し、最初のMACEとして集積された事象は1270件であった。
 SELECT試験において、セマグルチド2.4mgは、これまでのセマグルチド2.4mgを用いた試験と同様に、安全かつ忍容性の高いプロファイルを有すると考えられた。
 今回新たにSELECT試験 (全体集団:セマグルチド2.4mg群8803例、プラセボ群8801例) における日本人集団357例 (セマグルチド2.4mg群177例、プラセボ群180例) について、セマグルチド2.4mgの心血管リスクに対する影響の全体集団との一貫性を検討、解析した結果、日本人集団においてMACEを発現した症例はセマグルチド2.4mg群 で10 例 (5.6%)、プラセボ群で 16 例 (8.9%) で、両群間のハザード比は0.61 (95%CI:0.27, 1.32) であった。
 また、主要評価項目の3つの要素のハザード比はすべて1未満であった。
 重篤な有害事象はセマグルチド2.4mg群の 36.7% (全体集団:33.4%) およびプラセボ群の 42.8% (全体集団:36.4%) で報告され、日本人集団におけるセマグルチド2.4mgの安全性プロファイルはこれまでにGLP-1受容体作動薬で知られている事象と同様であった。これらの結果は全体集団で観察された結果と概ね一貫していた。
 同SELECT試験の日本人サブグループ解析結果は、JCC 2025で初めて発表された。

◆マルチン ジヒマノボ ノルディスク ファーマ コーポレート バイスプレジデント開発本部本部長のコメント
 肥満症は、生命を脅かす結果をもたらす可能性がある深刻な慢性疾患である。肥満に関連した健康障害は数多く、2型糖尿病をはじめ、肥満関連腎臓病、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患、がん、さらに心筋梗塞や脳卒中、高血糖、高コレステロール、高血圧および炎症などの心血管疾患リスクの上昇がありる。
 そのため、肥満症は体重管理のみならず、深刻な慢性疾患として早期に診断され、迅速に対応されることが必要である。
 SELECT試験では、セマグルチド2.4 mgが過体重または肥満で心血管リスクが高い人において心血管疾患を減少させることが示された。欧米諸国と比べて日本人は、より低いBMIにおいても肥満関連の健康障害のリスクが高いことが知られている。今回の日本人サブグループ解析の結果において、SELECT試験の全体集団と同様の傾向がみられたことは、セマグルチド2.4mgが日本人の肥満症患者さんの健康寿命に貢献できる可能性を改めて示したと言える。

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