FcRn阻害剤 「アイマービー」 全身型重症筋無力症で製造販売承認取得 J&J

 J&Jは19日、ヒトFcRn阻害モノクローナル抗体「アイマービー」について、全身型重症筋無力症を対象に製造販売承認を取得したと発表した。
 対象は、全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)」。
 アイマービーは、日本国内において希少疾病用医薬品の指定を受けており、今回の承認取得により、成人及び12歳以上の小児の全身型重症筋無力症(generalized myasthenia gravis:gMG)患者における持続的な症状コントロールが期待できる新たな治療選択肢となる。
 全身型重症筋無力症は、慢性の自己抗体疾患であり、持続的な疾患コントロールをもたらし、かつ安全性プロファイルが確認された新しい治療選択肢に対するアンメットニーズの高い疾患だ。
 全身型重症筋無力症患者の約95%がIgG抗体陽性で、それ以外は陰性である。さらに、陰性の患者においては、神経筋接合部抗体値が低いもしくはその可能性があることが明らかになっている。
 アイマービーは、免疫グロブリンG(IgG)(有害なIgG自己抗体を含む)を減少させるように設計された治療薬で、他の適応免疫機能及び自然免疫機能に対し影響は及ぼさない。
 今回の承認取得は、現在進行中の国際共同P3相Vivacity-MG3試験と第②/3相Vibrance-MG試験の結果に基づくもの。 Vivacity-MG3試験は、成人のgMG患者を対象にFcRn阻害剤を検証するために登録された試験の中で、主要評価項目を評価するにあたり、最長のデータを有している。主なVivacity-MG3試験の結果は以下の通り。
・日常生活動作(Myasthenia Gravis – Activities of Daily Living: MG-ADL)a 総スコアのベースラインからの平均変化量において、アイマービーと標準治療の併用群(以下、アイマービー+標準治療)では、プラセボと標準治療の併用群(プラセボ+標準治療)と比較し、24週間の二重盲検期間において有意な改善が認められた。
 これは、咀嚼、嚥下、発話及び呼吸などの基本的な機能が改善したことを意味している。

・また現在進行中の非盲検継続試験において、アイマービー+標準治療群は、追跡期間48週まで症状の改善を示した。
 アイマービーは、初回投与から24週間のモニタリング期間を通して、IgG抗体濃度を迅速にかつ持続的に最大75%低下させた。

・有害事象(AE)、重篤な有害事象(SAE)及び治験薬の投与中止に至った有害事象の発現割合は、プラセボ+標準治療と同様でした。具体的には、アイマービー+標準治療を受けた患者では81.6% (n=80) がAEを経験し、プラセボ+標準治療を受けた患者では82.7% (n=81)とほぼ同率であった。SAEにおいては、アイマービー+標準治療では9.2% (n=9)で、プラセボ+標準治療では14.3% (n=14)であった。
 また、抗AChR及び抗MuSK抗体陽性の12〜17歳の患者さんを対象とした、現在実施中のP2/3相Vibrance-MG試験では、アイマービー+標準治療群は、主要評価項目(24週間で血清中総IgGが69%減少)及び副次評価項目(MG-ADL及びQMGcスケールの改善)を達成したことが示された。
 アイマービーは、P3相Vivacity-MG3試験及び第2/3相Vibrance-MG試験において、一貫した安全性プロファイルを示しており、成人及び12歳以上の小児において、同程度の忍容性が示されている。
 現在、世界の複数の国や地域で、gMGの治療薬としてアイマービーの承認申請を行っている。本年4月、米国FDAは、gMG治療薬としてアイマービーを承認した。

◆村井弘之先国際医療福祉大学医学部脳神経内科学教授(代表)のコメント
 アイマービーによる臨床試験は、全身型重症筋無力症の治療において重要なマイルストーンを達成した。Vivacity-MG3試験においては、症状緩和と持続的な疾患コントロールが認められた。これは日常機能の改善につながり、24週間にわたりその効果が持続していた。このような持続的な症状の安定をもたらすことが期待できる治療薬の登場は、全身型重症筋無力症のように複雑で予測不能な疾患をマネジメントする上で、意義ある一歩である。
 またAChR、MuSK及びLRP4陽性及び陰性の成人患者さん及び12歳以上の小児患者さんという、より幅広い範囲の患者さんに新たなFcRn阻害剤を提供することになる。

◆クリス・リーガーJ&J Innovative Medicine Japan代表取締役社長のコメント
 今回の承認取得は、全身型重症筋無力症とともに生きる約2万3000人の日本の患者さんにとって、重要なマイルストーンとなる。 今回の承認取得は、アイマービーの研究開発における長年のコミットメント、コラボレーションと強い意志を持ち続けたことによる成果と言える。我々はこの新たな治療選択肢を、多くの全身型重症筋無力症の患者さんにお届けできることを誇りに思う。

タイトルとURLをコピーしました