他家iPS細胞由来心筋球「HS-005」臨床試験 日本ライフラインとの協業が順調に推移 Heartseed

 Heartseedは11日、開発中の他家iPS細胞由来心筋球「HS-005」について、臨床試験での日本ライフラインとの協業・提携が順調に進捗していると発表した。
 Heartseedは、同臨床試験で日本ライフラインから投与カテーテルシステムの提供を受け、症例登録を行っている。同臨床試験について、2025年内の治験届提出という目標に変更はない。
 HS-005は、国内におけるLAPiS試験において患者投与が完了し経過観察中にあるリードパイプラインHS-001(他家 iPS 細胞由来心筋球:開胸手術による心筋内投与)の次世代品だ。患者にとって低侵襲な治療方法としてグローバル展開が期待される。
 HS-005の臨床試験では、日本ライフラインの心臓カテーテルの製造ノウハウが応用されたiPS細胞由来心筋球専用の投与カテーテルシステムを使用して心筋壁への投与を行う。
 Heartseedが心筋補填療法で活用する細胞は、他家iPS細胞から心室筋を高純度で作製し、生着率を高めるために心筋球と呼ぶ微小組織にしたものだ。単一細胞と比較して、心筋球にすることで細胞の生着率や生存率が向上することが非臨床試験で確認されている。
 心筋球を心臓の心筋層内へ投与する際に、HS-001では自社開発した専用の投与針(SEEDPLANTER)とガイドアダプターを用いて心臓の外側から投与するが、HS-005 においてはカテーテルを活用して心臓の内側から投与する。
 投与した心筋球は、患者の心筋と結合して再筋肉化することで心収縮力を改善し、また種々の血管新生因子を分泌して投与部位周辺に新たな血管を形成する「neovascularization」という作用機序が期待されている。

 日本ライフラインは、不整脈の診断カテーテルでトップシェアを誇る医療機器メーカーで、臨床試験にて使用されたことのある心臓向け細胞投与カテーテルの開発経験を有する国内唯一の企業でもある。
 日本ライフラインの提供する投与カテーテルシステムは、標的部位に細胞を正確に投与するための機構を備えている。カテーテルは心臓内の3Dマッピング表示に対応しており、医師が患者の心臓イメージを見ながら心臓内のねらった位置にカテーテルを操作することができる。
 さらに、先端部に電極を備える独自構造により、細胞吐出部が心筋層に達していることを心電図変化で確認しながら投与できる。


 

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