外資系薬局の医師の処方箋無し医療用医薬品販売は法整備でしっかり防止を 大阪府薬乾英夫会長

 大阪府薬剤師会は3日、市内のホテルで定例記者会見を開催し、中国系薬局(大阪市中央区日本橋)が医師の処方箋無しで医療用医薬品を販売し、7月14日に大阪市健康局から45日間の薬局業務停止命令を受けたことに言及。「こうした行為は、たとえインバウンドであっても絶対に止めなければならない。防止は、今の行政指導では無理なので法整備をするしかない」と断言。「日本薬剤師会、厚労省の中央で動いて貰い、我々も地元行政としっかりと連携をとって対処していきたい」と語気を強めた。
 厚生労働省の専門家部会が8月29日、緊急避妊薬のスイッチOTC化を了承したことについても、「ようやく特定要指導医薬品の分類で了承された。早く一般の人に使って貰えるように、引き続き薬局の研修を行うなどしっかり対応できるよう支援していく」考えを強調した。
 乾氏は、大阪府薬剤師会認定かかりつけ薬局の今後の動向にも触れ、「現在は認定資格の3年更新を行っておらず、発展的解消に向けて進めている」と説明し、「同薬局は現在大阪府下で630件程度あるが、国の制度として定められている健康増進支援薬局や地域連携薬局へと変貌を遂げて頂きたい」と要望した。
 大阪市健康局から業務停止命令を受けた中国系薬局は、大阪一の繁華街「ミナミ(難波)」に位置する。行政処分の理由は、「薬局開設者が、医師等から処方箋の交付を受けた者以外の者に対して、正当な理由なく処方箋医薬品を販売した」ことによるもの。
 地元薬局によると、「難波の中国系薬局が、中国人観光客などインバウンド向けに、医師の処方箋無しで糖尿病薬、抗肥満薬、向精神薬、高血圧薬などの処方箋薬を販売しているという噂は良く聞く」という。「インバウンドなので購入者は母国に帰ってしまい、健康被害についての情報が得られない」のが現況だ。
 乾氏は、「これまでネット販売などで処方箋薬が海外に販売されてきたが、日本の薬局やドラッグストアを買収する手口でこういった事件が起こることは絶対に阻止しなければならない。我々自身の首を絞めている」と断言。
 その上で、「医師の処方箋無しで医療用医薬品を販売するのは完全に違法行為である。現在の行政指導では無理なので、防止するには法整備しかない」と明言し、「中央の日本薬剤師会、厚労省に動いて貰い、我々も地元行政としっかりと連携をとって対処したい。今止めなければ、どんどん進んでいく」と訴えかけた。
 加えて、「医療現場での医薬品供給が不安定な中で、こういった行為が行われていることも見過ごせない。医薬品の流通面でも、防止策は講じられると思う」と述べた。
 1992年の「大阪府薬剤師会基準薬局制度」に端を発する「大阪府薬剤師会認定かかりつけ薬局制度」は、2015年4月にスタートした。その後、国は「患者のための薬局ビジョン」を作製し、「全ての薬局がかかりつけ薬局」に、さらには「地域連携薬局」へと進めてきた。
 また、かかりつけ薬局の機能に加えて、OTC薬や健康食品、食事、栄養、介護、運動など、よりは幅広い健康相談に応じる“健康サポート薬局”が大阪府下で288件(2025年3月1日)を数える。
 加えて、2025年の改正薬機法により、地域住民の健康維持・増進を積極的に支援する役割を担う「健康増進支援薬局」が都道府県知事による認定制度薬局としてスタートしようとしている。こうした中、大阪府薬剤師会認定かかりつけ薬局制度は、発展的に解消される。
 乾氏は、「大阪府薬認定かかりつけ薬局が、健康増進支援薬局や地域連携薬局へと変貌を遂げて地域事情に沿った役割を担えるように大阪府薬としてしっかり支援していきたい」と抱負を述べた。
      

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