ファンペップは14日、開発中の抗体誘導ペプチド「FPP003」について、欧州において分割出願していた物質特許が成立し、特許庁から特許公報が発行されたと発表した。
同特許は、既に成立している物質特許の原出願に基づき分割出願したもので、開発化合物(FPP003)の権利の強化を目的としている。なお、物質特許は、FPP004X の用途(対象疾患)にかかわらず、物質そのものを広く保護する特許である。今回成立した物質特許の概要は次の通り。
【発明の名称】 疾患の要因となる生体内タンパク質を標的とするコンジュゲートワクチン
【出願人】 国立大学法人大阪大学、ファンペップ
ファンペップは、大阪大学から独占的な実施権の許諾を受けている。
【特許番号】 4194007(原出願の特許番号 3434279)
抗体誘導ペプチドは、患者の体内で抗体産生を誘導することにより治療効果を期待するペプチド治療ワクチンである。
難治性の慢性疾患に対しては、バイオテクノロジーを活用した抗体医薬品が有効な治療薬として臨床の現場で広く使用されている。体外で人工的に製造する抗体医薬品と異なり、体内で抗体を産生させる抗体誘導ペプチドは、(抗薬物抗体を原因とする)効果の減弱が起こらず、長期にわたって治療効果を維持することが期待される。
さらに、免疫細胞が一定期間抗体を産生することから、薬剤の投与間隔(数ヶ月に1回の注射)が長く投薬の頻度が少なくなり、服薬アドヒアランス(服薬遵守)及び利便性の改善により患者の QOL向上が見込まる。
また、ファンペップは、化学合成で製造可能な抗体誘導ペプチドを、高額な抗体医薬品に対して医療費を抑制する代替医薬品として開発し、先進国で深刻化する医療財政問題の改善にも貢献してく意向を示している。
FPP003 の標的タンパク質 IL-17A は、様々な炎症性疾患の病態に重要な役割を担っており、先行する抗IL-17A抗体医薬品は、尋常性乾癬、関節症性乾癬、強直性脊椎炎及び X 線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎等の幅広い疾患を対象に薬事承認を取得している。FPP003 についても、尋常性乾癬及び強直性脊椎炎等を対象とする開発が進んでいる。
なお、同特許成立は、2025年12月期の業績に影響を与えない。