ナルコレプシー治療剤「oveporexton」 P3試験で全主要評価項目・副次評価項目達成 武田薬品

 武田薬品は14日、経口オレキシン2受容体(OX2R)選択的作動薬のナルコレプシー治療剤「oveporexton」(TAK-861)について、2つのP3相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床試験において、すべての主要評価項目および副次評価項目を達成したと発表した。2025年度中に米国FDAおよび世界各地の医薬品規制当局に新薬承認申請を行う見込みである。
 同剤は、ナルコレプシータイプ1(NT1)を対象としたファースト・イン・クラスとなる可能性を有している。NT1は、脳内のオレキシン産生ニューロンの消失によって引き起こされる。オレキシン作動薬は、この根底にあるオレキシン欠乏に対処するように設計されている。この作用機序は、P3試験で初めて検証され、広範な症状に有意な改善が示された。これらの結果は、oveporextonが標準治療を変革する可能性を裏付けている。
 FirstLight(TAK-861-3001)および RadiantLight(TAK-861-3002)試験は、19 カ国で実施された 2 つの大規模な国際共同P3試験である。両試験ともにプラセボ群と比較して統計学的に有意な改善を示し、12 週時点において、全ての用量群で、全ての主要評価項目および副次評価項目のp値は<0.001であった。
 主要評価項目および副次評価項目として評価した客観的および主観的な指標である覚醒度、日中の過度の眠気、情動脱力発作(カタプレキシー)、持続的注意力、全般的な生活の質および日常生活機能などの検討した幅広い症状において、統計学的に有意かつ臨床的に意義ある改善が認められ、ほぼ正常範囲に達した。 oveporexton の忍容性は概ね良好であり、P3試験で得られた安全性プロファイルはP2b試験を含むこれまでの試験と同様であった。治験薬と関連のある重篤な有害事象の報告はなかった。
 主な有害事象は不眠、尿意切迫および頻尿であった。試験を完了した被験者の95%以上が実施中の長期継続投与試験に組み入れられた。
 武田薬品は、今後の医学学会で結果を発表する予定である。なお、同P3試験結果が、2025度通期連結業績予想に与える影響は軽微である。

◆クリストフ・ウェバー武田薬品代表取締役社長 CEOのコメント
 oveporextonプログラムの重要なマイルストンを達成できたことを大変嬉しく思う。oveporextonは、NT1のように治療が困難な疾患に対して、新しいクラスの医薬品を創出・開発し、患者さんにお届けするという当社の強みを象徴している。
 オレキシンの研究にお
ける当社のリーダーシップと、革新的な可能性を秘めた複数の新薬候補からなるオレキシンフランチャイズを構築することで、当社は将来の長期的な成長に向けた確固たる基盤を築いている。

◆アンドリュー・プランプ武田薬品リサーチ&デベロップメント プレジデントのコメント
 この可能性のある治療薬をNT1患者さんに一刻も早くお届けするために、両試験はこれまでにないスピードで実施された。P3試験の包括的な評価は、P2b試験で見られた革新的な結果と一貫しており、ほとんどの被験者が12週間の投与期間終了時に広範な症状において、正常範囲を示し、また、臨床的に意義ある改善が報告された。
 この良好な結果は、当社の後期開発パイプラインの継続的な勢いをさらに強化するものであり、世界中の患者さんに価値をもたらすことができると確信している。

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